prime

【深掘り】給食費「無償化」、県議選絡み「火花」 与党は歓迎、野党は手法批判 沖縄


【深掘り】給食費「無償化」、県議選絡み「火花」 与党は歓迎、野党は手法批判 沖縄 学校給食費の無償化について定例記者会見で説明する玉城デニー知事=5月24日、県庁
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 7日告示、16日投開票の県議選を前に、玉城デニー知事が打ち出した県内中学生の給食費無償化を巡り、与野党の論戦が過熱している。

 知事を支持する県政与党の立候補予定者が無償化を歓迎する一方、野党の自民は事前調整がなく、市町村に事業の半額の負担を迫る内容への批判を強める。玉城知事自身、応援演説では必ず無償化に触れて「県議選の結果次第では実現できなくなる」などと強調し、対決姿勢を鮮明にしている。

 

 給食費無償化は玉城知事が5月24日の定例会見で発表した。2025年度から、市町村立の中学生の給食費を無償にする市町村に、県が費用の半分を補助する内容。無償化に必要な予算は食材費20億円で、10億円ずつを県と市町村が折半する。

 玉城知事は計画を発表したその日から、県議選の立候補予定者の集会に駆け付けると必ず無償化の実現に言及するようになった。1日には、本島中部の街頭で「県議会で野党が議席多数を取れば、必ず自民党はこの計画をつぶしにかかる」とまで語り、与党多数の維持を訴えた。

 一方で、玉城知事の発表には、保守系の首長らを中心に「事前の相談がなく唐突」(松本哲治浦添市長)などと計画に対する批判が噴出している。

 2日、本島中部で開かれた自民公認の県議選立候補予定者の集会。応援入りした島尻安伊子衆院議員(沖縄3区)は「知事と市町村の首長と何のすり合わせもなく、国に聞くと財源の相談も来ていない」と説明。財政状況が厳しい市町村にも半分の負担を求めることから「県内どこでも格差、差別のないよう等しく政策を受けられる環境を整えることが県の役割ではないか」と疑問視した。

 県議選に出馬を予定する自民関係者は、突如県が発表した計画に対し「与党の選挙対策でしかない。(野党・中立で)過半数を取り、県が責任を持ち完全無償化に取り組むよう議論を進める」と語気を強める。一方、県政与党関係者は「有権者にとって、財源の出どころは問題ではない。無償化になるかならないか、選挙への関心にもつなげたい」と話した。

(’24県議選取材班)