沖縄県市長会会長の桑江朝千夫沖縄市長らが6日、県庁に玉城デニー知事を訪ね、知事が5月に発表した中学生の給食費無償化を支援する事業について、費用を全額県が負担し、小学生も含めて実施するよう求めた。出席した市長は、市町村側と事前の協議をせずに事業を発表したことなどを批判した。
玉城知事は5月24日の会見で、中学生の学校給食を無償にする市町村に対し、費用の半分を県が補助する制度を2025年度から実施すると発表した。
これに対して市長会は要請文で「財源の2分の1の負担を求める市町村に事前の調整もなく一方的かつ唐突に決定し発表したことは非常に残念で、到底受け入れられるものではない」と反発。「半額を負担できない市町村の保護者は補助がゼロになる」として、地域間格差が生じると指摘し、県の事業案を撤回した上で全額を県が負担するよう迫った。
玉城知事は要請後の定例記者会見で、無償化について自治体の間で差が生じることは望ましくないという見解を示し「継続性、公平性のあるものにしていくために、どういう工夫ができるかが大事。市町村の意見に絶対聞く耳を持たないということは毛頭ない」として、柔軟に対応していく姿勢を示した。小学生の無償化については「国の財源を活用する範囲が広がれば早期に実現できるのではないか」として、国の動向が重要という考えを示した。
県と市町村との意見交換の後、県町村会会長の當眞淳宜野座村長は、記者団に対し「町村会は人口などの幅が広く、自治体の状況が違うので一概に意見集約が難しい。まずは県がどう制度設計するかを確認して対応したい」と話した。
(沖田有吾)