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【深掘り】超党派での県民大会へ一歩 県女性団体、県議会各会派に要請 与野党での対応に温度差も 米兵事件続発


【深掘り】超党派での県民大会へ一歩 県女性団体、県議会各会派に要請 与野党での対応に温度差も 米兵事件続発 沖縄県議会
この記事を書いた人 Avatar photo 佐野 真慈

 県女性団体連絡協議会(伊良波純子会長)が29日、相次ぐ米兵の性暴力事件に抗議する県民大会の実現へ向け、県議会議長と各会派に対し、協力して大会を開催するよう要請した。政治的立場を超えて県民が一丸となって抗議の意思を示すために一歩、踏み出した形だが、県議会側は与野党で対応に温度差がみられ、現時点で超党派での開催実現は不透明だ。

 県政与党会派のてぃーだ平和ネットとおきなわ新風、共産、社大は要請に対して一様に「実現を目指す」と賛同した。おきなわ新風の次呂久成崇幹事長は、事件を巡って県議会が10日に抗議決議と意見書を全会一致で可決したことに触れ「全会派が参加できるよう調整したい」とした。

 一方で野党や中立に前のめりな姿勢は見られない。要請を受けた沖縄自民・無所属の会の花城大輔会派長は「会派で共有し、検討したい」と述べるにとどめた。中立の公明や維新も「受け止めて協議したい」とした。

 自民県議の一人は野党と中立会派の慎重姿勢について、抗議決議と意見書を可決したことを挙げ「直接、政府に決議も手渡し抗議した。すでに県議会としての意思は示している」などと大会の必要性を疑問視する状況もあるとした。その上で「これからの協議になる」とも強調した。

 米兵性暴力事件を巡っては、女性の人権を踏みにじる事件の態様に加え、報道で事件が明るみに出るまで日米両政府から県や市町村に情報共有がなかったことや日米両政府からの謝罪がいまだにないことも、多くの県民の怒りと不信を買っている。

 これまでに県議会をはじめ、多くの市町村議会でも全会一致で抗議決議や意見書が可決された。女団協はこれら決議と意見書を基に「県民の人権を守るため」に県民一丸で抗議の意思を示す必要性を訴えており、県民の代表たる県議会が今後、どう判断するか注目される。 

(佐野真慈)