10日に開かれた県民集会には、主催者発表で約2500人が参加した。1万人以上が集まった過去の県民大会に比べれば規模は大きいとは言えないが、過重な基地負担に対する県民の怒りを顕在化し、国策の犠牲になることを拒否する意志を目に見える形で示した意義は大きい。
沖国大への墜落事故から20年が経過しても普天間の危険性は減じていない。当時は配備されていなかったオスプレイが頻繁に頭上を飛び交う。
政府は辺野古への移設が、普天間の危険性を早期に除去するための唯一の解決策だと強調する。しかし、軟弱地盤の改良工事が必要なことから、辺野古新基地が完成して米軍に提供されるのは約12年後と見込まれる。長期の工事が必要となる軟弱地盤の存在を把握したとされる2007年の時点で、辺野古移設以外の方策を模索しなかった。結果、危険性を継続させた責任が政府にはある。
繰り返される米軍による事件でも、政府の責任が問われている。米軍人・軍属は、日米安全保障体制の選択・継続という国策によって沖縄にいる人々だ。事件が発生した時に政府がすべきことは被害者への徹底したケアと、自国民を守るために米国に対して再発防止を徹底して求めることだ。県に事件の発生を連絡しなかった政府の姿勢からは、沖縄の基地問題への無関心ぶりが見て取れる。
性的暴行事件へ抗議する意志を示そうと、県女性団体連絡協議会が県議会や市町村議会などに超党派の県民大会開催を要請している。日米両政府に、そして日米両国の世論に、これ以上の被害を拒む沖縄の意思を可視化させて伝える必要がある。
(沖田有吾)