【東京】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設が進む大浦湾でボーリング(掘削)調査船とみられる作業船2隻が確認された件について、防衛省は6日、取材に土質調査を実施していることを認めた。作業船の位置は、最も深くまで軟弱地盤が達しているとされながら防衛省が力学試験をしなかった地点に近い。今回の調査で、深刻な軟弱地盤の実態が改めて明らかになる可能性がある。専門家は「結果を踏まえて設計を見直すことになるだろう」と指摘した。
設計変更前のボーリング調査で防衛省は、軟弱地盤が最も深いとされる地点「B27」での力学試験をせず、他の3地点から推計して強度を評価した。後に別の方式で調査して軟弱であると示す結果が出ていたことが発覚したが、県に提出する設計変更に反映しなかった。外部の有識者団体から疑義が出たが、追加の調査を実施しなかった。
防衛省は6日、今回の土質調査について「地盤改良に先立ち、護岸予定地付近の一部で土質調査を実施している」と答えた。強度を評価する調査のやり直しではなく「別の調査という位置づけだ」とし、結果の公表は「予定していない」と述べた。
日本大の鎌尾彰司准教授(地盤工学)は「未調査部分を調べる必要性がやっと理解できたようだ。結果を踏まえ、設計を見直すことになるだろう。工期延長や工費増大を含めて変更がある場合は県ときちんと議論してほしい」と語った。
(明真南斗)
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