米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設の事業費を防衛省が9300億円と試算していることについて、木原稔防衛相は3日の閣議後会見で「今後の検討などによって変更があり得る」と語った。
試算額の約57%に当たる約5319億円が2023年度までに支出済みで、超過する可能性が濃厚となっているが、木原氏は「現時点では具体的に見直す段階ではない」として新たな試算は示さなかった。
試算見直しについて「今後の大浦湾側の工事の進捗(しんちょく)などを踏まえて検討していく」と述べた。19年度に示した事業費9300億円は当時の工事の状況を踏まえた「経費の概略」と強調。辺野古新基地にかかる費用は「普天間飛行場の一日も早い全面返還、地元の基地負担軽減を図るため不可欠な経費だ」と強調した。
新基地建設のための埋め立てに必要な土砂量に対して投入済みの土砂の割合は約15%にとどまる。大浦湾側の工事は始まったばかり。今後も大規模な工事を計画しており、費用は増大する見込み。防衛省は14年段階で事業費を3500億円と説明していたが、19年度に軟弱地盤の改良工事を追加するとして約2・7倍の9300億円との試算を示した。
辺野古新基地建設の経費を巡っては入札後に受注者と沖縄防衛局が変更契約を結んで増額する手法が常態化している。最も深い地点で水面下約90メートルに達する軟弱地盤を改良するため、既存の地盤改良船では対応できず、船の改造費も防衛省が負担することにしている。
(明真南斗)