【ワシントン9日=石井恵理菜】訪米中の玉城デニー知事は9日午前10時(日本時間9日午後11時)、共和党系のシンクタンク「ハドソン研究所」で開かれたシンポジウムで講演し、同研究所日本部長のケネス・ワインスタイン氏と対談した。到着後、最初の日程で、米国での活動を本格化させた。講演では、基地問題について「厳しい状況が続いている」と指摘。相次ぐ米兵性的暴行事件の再発防止を求めた。
玉城知事は約25分の講演を全て英語で行い、自身の生い立ちや沖縄の歴史、過重な基地負担の現状を説明した。
対談したワインスタイン氏はトランプ前政権幹部や安倍晋三元首相に近い人物とされており、トランプ前政権時には駐日大使候補だった。対談では、台湾有事や中国脅威論を背景にした軍事力強化の必要性について質問が相次ぎ、玉城知事は「中国の脅威を米軍基地の存在と比較して述べられたとしても、犠牲になるのが沖縄県民であれば、県民を二度と犠牲にしないようもっとバランスを置くべきだ」と強調した。
相次いで発生する米兵による性的暴行事件にも触れ「問題解決のため通報体制の着実な実践と、人権を守るために日米同盟関係における地域の人々と部隊の兵士や家族の関係が常に良い状況に保つよう努力を尽くすべき」と訴えた。
玉城知事は日米同盟の必要性と、最低限度の自衛力保持について理解する立場を示した上で「日米安全保障体制の安定的な維持のためには、地元の理解は不可欠だ。日米両政府と地元との話し合いの場を多く持つことが大切だ」と指摘した。
玉城知事は同日、連邦議会調査局も訪れ、沖縄の基地負担の現状を説明した。アメリカン大学のピーター・カズニック教授とも面談した。
10日は連邦議会議員との面談のほか、防衛・安全保障担当の現地記者との朝食懇談会などを予定している。