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【成果と課題】米政府から責任言及なく デニー知事1週間の訪米活動終了、追及姿勢を強調


【成果と課題】米政府から責任言及なく デニー知事1週間の訪米活動終了、追及姿勢を強調 報道陣の質問に答える玉城デニー知事=13日午後1時ごろ(日本時間14日未明)、ニューヨークの国連本部前
この記事を書いた人 Avatar photo 石井 恵理菜

 【ニューヨーク13日=石井恵理菜】約1週間にわたる訪米活動を終えた玉城デニー知事。米兵による性的暴行事件が相次いで発覚する中での訪米で、米側に直接、通報体制の見直しや再発防止を申し入れた。玉城知事は、透明性と実効性を持つための対応をすることが「極めて重要」と両者で確認できたとして訪米の意義を強調した。一方で、米政府から実効性を担保する責任の所在に言及はなかった。根本的な解決策を引き出せず課題も残した。

 国務省・国防総省から責任の所在に言及がなかったことについては、沖縄に真摯(しんし)に向き合わない米側の姿勢を浮き彫りにした。玉城知事は「この責任なき対応は必ずしも物事がスムーズに、丁寧に進むことを担保した状況にはまだなっていない」と、責任体制を追及する考えを示した。

 知事就任以降、4度目の訪米。今回「課題解決に向けた協力者を増やす」というミッションの下、要請にとどまらず、米連邦議会議員や補佐官ら約50人と面談したほか、三つのシンポジウムに参加し、英語で沖縄の現状を訴えるなど、草の根活動をてこ入れした。

 共和党系シンクタンクでのシンポジウムでは、中国の脅威に関する県の考えなどに厳しい質問が飛び交った中、「私は日米同盟を認めている。今すぐ米軍基地をゼロにしろとは言っていない」と強調。沖縄の基地負担の現状を数値や図を示しながら、「最低でも在日米軍基地の割合を50%まで減らすべきだ」と、県の考える基地負担軽減の筋道を示した。

 今回の要請で最も注目された国務省・国防総省との面談では、米兵による性的暴行事件で通報体制が機能しなかったことについて改善を申し入れた。対応者が日本部長にとどまったが、「懸念に同意する意見が得られた。事態の重要性と解決すべき課題への対応が必要だと受け止めてもらえた」と手応えを述べた。

 例年と比べ、格段に面談数が増えた今回の訪米活動。「ワシントン駐在が確実にネットワークを広げている。できることなら増強したい」との考えを明かした。6月の県議会選挙で駐在経費削除を求める野党自民が議席を伸ばし「野党・中立」が過半数を獲得した。駐在の予算確保が不透明な状況にあるが、「ワシントン駐在の必要性、重要性を丁寧に説明し、理解を得ていきたい」と話した。