知事選で「辺野古に新しい基地をつくらせない」を重点公約の一つに挙げた玉城知事。県が新基地建設阻止の「切り札」としてきた大浦湾側の軟弱地盤の改良に伴う設計変更を巡っては、国土交通相が県に行った承認を求める勧告と指示に対し、玉城知事は昨年10月4日、「期限内に承認を行うことは困難」と回答して承認しなかった。
国交相が県に代わって設計変更申請を承認する代執行訴訟に発展したが、昨年12月20日に福岡高裁那覇支部が県の敗訴を言い渡し、国は同28日に史上初めて自治体の事務の代執行を実施。今年1月には大浦湾側の工事に本格着手した。
玉城知事は2期目に入っても国との法廷闘争を継続しつつ、対話による解決を模索しているが、普天間飛行場の返還は「辺野古移設が唯一の解決策」(林芳正官房長官)として工事を強行する国との間で辺野古を巡る対話の糸口を見いだすことはできていない。
国との対話で厳しい状況が続く中、玉城知事は県外、国外の市民らに対して沖縄の問題を訴えることを強化している。
今年7月、新潟県で開かれた音楽イベント「フジロックフェスティバル」のトークショーに参加し、基地問題を訴えた。
9月8日から15日にかけて訪れた米国では、シンポジウム3件に出席し、現地の学生や研究者らと意見を交わした。三つのシンポジウムをこなしたのは歴代知事の訪米行動の中で最多。従来の要請を中心とした米国での活動から転換を図り「協力者を集める」(知事周辺)のが狙い。
今年4月には、県庁に平和・地域外交推進課を立ち上げ、自治体外交による地域の緊張緩和に取り組む姿勢も打ち出した。
選挙戦で訴えた「在沖米軍基地のさらなる整理・縮小を日米両政府に求める」を実現するため、多角的に訴えを続ける。
(知念征尚)