玉城知事は、沖縄を「アジアの結節点」と位置づけ、県が持つ魅力を生かした経済や県民生活の再生、県民所得の向上を2期目の目標として掲げている。新型コロナウイルスの影響が和らぎ、観光が回復基調にある一方、本島東海岸の地域発展を目的に進めてきた大型MICE事業は入札不調になるなど、産業分野の施策には課題も抱えている。
2期目就任時の2022年、新型コロナの流行で県経済は大きな打撃を受けていた。23年5月に新型コロナの5類移行に伴い観光需要が大きく回復。さまざまな産業で景気回復の広がりを見せた。24年8~10月の入域観光客数は、266万8100人となる見通しで、海外路線に関しては9、10月は新型コロナ拡大前の19年も上回ると見込まれている。
玉城知事は地域外交にも力を入れ、24年7月に中国・福建省トップの周祖翼・省共産党委員会書記と面談した際、経済面などの交流について意見交換。9月10日からは、約9年ぶりに那覇―福州を結ぶ空路の定期運航が始まった。
観光などが回復しているが、県民生活は物価高騰による影響を受けている。23年6月の電気料金の値上げに伴い、玉城知事は国に対し全国一律支援に加えた追加の支援を要請。そのほか、県独自の補助を実施するなど県民生活への影響を最小限とするよう取り組んだ。
一方、市町村への水道供給単価は1993年以来31年ぶりに値上げする。老朽化した施設の更新、電気料金の値上げなどが理由。10月から段階的に引き上げられ、最終的に26年4月からは、現行料金から1立方メートル当たり33円46銭の引き上げとなる見込みだ。
大型MICE施設の整備事業は、今月18日に入札公告の締め切りを迎えたが、業者の応札がないまま「入札不調」となった。当初予定していた29年3月の供用開始の遅れは確実となっており、計画の見直しが必要な状況となっている。
(與那原采恵)