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【1区】「クオータ制」で賛否 性の多様性など<衆院選2024沖縄 立候補者アンケート>4


【1区】「クオータ制」で賛否 性の多様性など<衆院選2024沖縄 立候補者アンケート>4
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 琉球新報が衆院選立候補者に実施した政策アンケートの最終回は、性の多様性や学校給食費無償化についての見解を紹介する。自民党本部が選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な姿勢を見せている中、自民前職の4人全員が「導入すべき」と回答した。同党本部は同性婚についても慎重で、1氏のみ「認めるべき」と見解に違いを見せた。学校給食費の無償化については、自民前職2氏と参政新人、無所属元職の計4氏をのぞく全員が、国の全額支援と全国的な無償化を訴えている。自由記述部分を含めたアンケートの回答全体を、後日琉球新報のウェブサイトで公開予定。

  (’24衆院選取材班)

1区

 1区では政治における「クオータ制」導入や同性婚への賛否、学校給食費無償化の財源確保策などで候補者の主張に違いが見られた。

 下地幹郎氏=無所属=は女性の政治参加への支援に理解を示しつつ、「クオータ制を取り入れなくても十分に女性の進出は可能」と訴えた。

 国場幸之助氏=自民=は反対の意見を示した。理由として「議員は性別でなく、人物本位によって選出されるべきだ」と主張した。

 和田知久氏=参政=は反対の考え。理由として「現状少数の女性を優遇する少数優遇制度は結果的に不平等を加速させる」との考えを示した。

 赤嶺政賢氏=共産=は「政治の男女共同参画は大きく立ち遅れている」と賛成の考え。政党が女性候補者の比率を高めることの重要性を訴えた。

 (おわり)

<回答全文>

下地幹郎氏国場幸之助氏和田知久氏赤嶺政賢氏
1.子どもの貧困の改善・解消に向けて必要だと考える施策について両親の貧困対策を行うことが最優先課題である。教育完全無償化で、子どもの教育を受ける権利を確保し、貧困からの出口戦略を作る。電気、水道、ガス、ガソリンなどの生活インフラを徹底的に軽減していく。子供の貧困は大人の貧困解決が必要。所得の向上策、政府の分配政策が必要。女性も障がい者も高齢者も非正規雇用も安定した所得を。小規模事業者が所得分配機能を発揮できるような生産向上に資する施策を展開する。居場所と支援員の充実プラスαの措置も大切。親世代、若者世代の所得向上が必要であり、そのためには、失われた30年を作り出した経済政策の失敗を認め、減税と積極財政政策転換が必要。また、移民による低コスト労働者増加が賃金上昇を抑えているので、移民政策の転換も重要。国の責任による学校給食費の無償化、就学援助や生活保護、児童手当の拡充、公共住宅の増設、離婚後の養育費立替払い制度の導入などひとり親家庭への支援強化。最低賃金の全国一律1500円へ引上げ、正規雇用の拡大、子ども食堂支援、ヤングケアラー支援。
2.少子高齢化への対策として必要だと考える施策について教育の完全無償化を行い、親の教育負担を減らすことで少子化に大きく貢献することは間違いない。高齢化については、元気なおばあちゃん、おじいちゃんになっていただくという観点から、生活習慣病の予防医療を徹底する。少子化の背景には個々人の希望を阻害する複数の要因があり、結婚(出会いの機会の創出)、妊娠・出産(不妊治療が保険の適用の更なる拡大が必要)仕事と子育ての両立(男性の育休取得促進)などライフステージごとの支援を総合的に充実していくことが必要。ハンガリーなど、積極的財政政策、例えば3人目からの子供には相当大きな経済支援するなど成功事例が海外ではある。現状の少子化対策はすべて間違っていた前提に立ち戻り、結果のでる対策に大転換が必要。安心して子どもを産み育てられる環境を整えることは急務だ。最低賃金の引上げや正規雇用の拡大、労働時間の短縮、高すぎる学費の半減や入学金ゼロ、給付型奨学金の拡充など教育費負担を軽減する。社会保障の改悪を中止し、将来不安を取り除くことも重要だ。
3.政治分野における「クォータ制」導入への賛否その他:女性の政治への参加を強力にサポートすることには賛成。しかしクオータ制度を取り入れた女性の進出は、女性そのものが望まないのではないか。現在の政治状況をみても、クオータ制度を取り入れなくても十分に女性の進出は可能である(C)反対(B)反対(B)賛成(A)
理由議員は性別でなく、人物本位によって選出されるべきであり、女性の議席を増やす等の取組は、各政党の判断にゆだねるべき。現状少数の女性を優遇して議員にするような、少数優遇制度は結果的に不平等を加速し人々の不満を増大させる。機会の均等は大切であるが、少数優遇には反対。政治分野の男女共同参画は大きく立ち遅れている。女性の政策決定への参加が弱いことがジェンダー平等後進国の現状を生み出している。政治分野の男女共同参画推進法に基づき、各政党が女性の候補者比率を高め、ジェンダー平等を推進していく必要がある。
4.選択的夫婦別姓についての賛否導入すべき(A)導入すべき(A)導入すべきでない(B)導入すべき(A)
理由個人を尊重し、その意思を尊重するために導入されるべき子どもの名字が、母親もしくは父親のそれと異なることとなり、長年継続した日本の家族制度を破壊することに繋がりかねない危険性を感じるので。夫婦同姓を強制することが、様々な社会生活上の不便や不利益を生み、個人の尊厳を奪っている。7割以上の国民が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成し、経済界も早期導入を要望している。機は熟している。個人の選択の自由を国が奪い続けることは許されない。
5.同性婚への賛否認めるべき(A)その他:国民の中に様々な声があるので、さらなる議論が必要(C)認めるべきではない(B)認めるべき(A)
6.深刻化している教員不足への解決のために何が必要か教育に新たな民間活力を導入していくことで、先生方の負担軽減を進めるべきである。専門科目の教育においては、専門知識を持つ民間人が指導し、それによって教員にゆとりが生まれることになる。また、用務員の数を増やし、先生方のサポートを充実させるまずは処遇や待遇の改善はもちろん家庭や教員間の連携。また臨時教員等の活用。職務の分担。全国一律の文科省を中心とする教育制度を改め、地域ごとに学校の形や教員の資格を決めることのできるような、地域主体の取り組みにシフトすべきだと考える。多すぎる業務負担を減らし、働き方を改善する。無駄な報告書作成や全国学力テストなどを中止する。子どもにも多すぎる現在の授業数は見直す。教職員定数を増やし、8時間労働に収まるようにする。部活動顧問の負担を軽減する。残業代を支給する制度に改める。
7.学校給食費の無償化についてその他:給食費の無償化は、国と県の役割で予算を支援すべきだが、国がその支援に躊躇した場合は、県が全額支援し早急に実現していくことが当たり前のことである。市町村にその役割を持たせる場合においてもよく協議を行い、市町村が拒否した場合には県が支援すると明確にすべきである(F)その他:県知事の公約なので実現すべき(F)国が全額支援し、全国的な無償化に取り組むべき(A)国が全額支援し、全国的な無償化に取り組むべき(A)
理由子どもたちの健康増進のために、国が率先して農薬の害なく、添加物の害のないような発育に適する給食を提供し、経済格差などに左右されない仕組みが子供たちにとって必要と考える。物価高騰や子どもの貧困対策として、学校給食費の無償化にふみだす自治体が広がっているが、地域によってばらつきがある。子どもたちに等しく無償化を保障するためには国の制度として全国一律で実施すべき。義務教育を無償とした憲法26条の趣旨にもかなう。

<比例・回答全文>

金城泰邦氏島袋恵祐氏
1.子どもの貧困の改善・解消に向けて必要だと考える施策について子どもの貧困対策は社会全体で取り組まなければならない。児童手当の拡充等の取り組みもあるが、特にひとり親家庭に対しては制度的な支援を拡充しながら、母子の孤立を防ぐため、妊娠・出産から子育て期にわたって親子を切れ目なく支援する取り組みが必要。 抜本的な賃上げと長時間労働の是正が必要。18歳までの医療費無料化、給食費や学費無償化、児童扶養手当の所得制限緩和と対象拡大を進め、生活保護の母子加算、児童養育加算、学習支援費を復活・拡充させる。若年妊産婦やヤングケアラーへの支援を強化する。
2.少子高齢化への対策として必要だと考える施策について少子化については、妊娠・出産・育児・教育・医療の負担を軽減し、子どもを産み育てながら多様なライフスタイルを維持できるような環境の整備を行うことが重要。高齢化については、健康寿命を延ばす施策を拡充。 長時間労働の是正や抜本的な賃上げを進める。認可保育所の増設や学童保の保育料減免を図る。義務教育にかかる費用の無償化を進める。児童手当を18歳まで支給し、児童扶養手当、就学援助を拡充する。大学などの入学金を廃止し、学費を半額に引き下げる。
3.政治分野における「クォータ制」導入への賛否賛成(A)賛成(A)
理由記述なし「ジェンダーギャップ指数2024」の政治分野で日本は113位、衆院の女性比率は10%にすぎない。政策決定や意思決定の場への男女平等の参加は、民主主義の当然の姿だ。ジェンダー平等社会を実現するためにも、女性議員を増やすことは重要な課題だ。
4.選択的夫婦別姓についての賛否導入すべき(A)導入すべき(A)
理由記述なし結婚時に改姓する人の大多数は女性だ。仕事や社会生活でなお不便や不利益を押し付けている。法律で夫婦同姓を義務付けることは、個人の尊厳を脅かし、法の下の平等に反する重大な人権問題だ。
5.同性婚への賛否認めるべき(A)認めるべき(A)
6.深刻化している教員不足への解決のために何が必要か抜本的な教育改革が必要。現在の教育の在り方を見直し、現在の教育内容、人員配置などを見直していく必要があると考えている。長時間労働の解消が何よりも重要。「残業代不支給制度」である教職調整額を廃止し、残業代を払う仕組みに変える。8時間労働に収まるよう教職員定数を抜本定に増やし、正規職員を確保するため義務教育給与の国庫負担率を2分の1に戻し、私学助成を増額する。
7.学校給食費の無償化についてその他:全国の教育機関の調査と検討 (F)その他:全国の教育機関の調査と検討 (F)
理由記述なし憲法26条は「義務教育は、これを無償とする」と定めている。貧困で食事を十分に取れない子どももいる。学校給食をはじめ義務教育の完全無償化が必要だ。地域に関係なく、すべての子どもたちの成長を保障するために、国の責任で無償化を進めるべきだ。