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「離島苦」乗り越え、地域の期待を力に きょう九州大会 八重山高女子サッカー部、4校合同チームの主体 沖縄


「離島苦」乗り越え、地域の期待を力に きょう九州大会 八重山高女子サッカー部、4校合同チームの主体 沖縄 4校合同チームの中心の八重山高校サッカー部=14日、石垣市の真栄里公園
この記事を書いた人 Avatar photo 照屋 大哲

【石垣】恩納村の赤間運動場で3日、県高校サッカー界に新たな歴史が刻まれた。部員数が少ない高校で構成する4校合同チームが女子決勝で、PK戦の末に首里を破り頂点に立った。合同チームの優勝は男女通じて県高校サッカー史上初。

 チームの主体となったのが石垣市の八重山高校だ。部員数は4校で最も多い8人。小学校から同じチームでプレーしてきた「チームワークの良さ」で合同チームをけん引した。

 八重山高を指導するのは加原利之監督。クラブチーム「ペドラディアマンテスガールズFC」で、8人を小学生や中学生の頃から指導してきた。県高校新人大会では初戦から決勝までの4試合を無失点で終えた。

 チームをまとめるのは、守備の要としてセンターバックを務める主将の佐伯美羽(みわ)さん(17)。「守備を固めショートパスをつなぐ」プレーがチームのスタイルだ。攻撃は、加原監督の娘で司令塔のMF加原生彩輝(いさき)さん(17)が軸となる。巧みなボールキープを生かし攻撃を展開する。

 練習は週3回学校のグラウンドで、残り週3回は市内の真栄里公園の広場で行う。8人しかいないため、ペドラU15の中学生や小学生と汗を流す。

 部員の半数が保護者の負担を軽減しようと、遠征費をためるためアルバイトをしながらサッカーに取り組んでいる。大会の多くは沖縄本島や県外で開催され、渡航費や滞在費など費用がかかる。「平日の練習の後はきつい。ゆっくりしたいなと思うこともあるけど、将来にもつながる」と佐伯さん。加原監督も「遠征費もそうだし、練習試合もできない」と離島の課題を挙げる。

 合同チームは、17日に鹿児島県で開幕される九州大会に挑む。加原監督によると、市教育委員会から1人2万1千円の補助が出る。だが、渡航費や滞在費で1人10万円ほどかかるため残り8万円ほどは各自の自腹となる。大会前の島内での最後の練習となった14日、真栄里公園には選手にカンパを手渡す人や「ラーメン1杯無料券」を提供するラーメン店主ら地元住民が激励に訪れた。

 初戦は17日正午にキックオフ。相手は福岡県代表で優勝候補筆頭の東海大福岡だ。島の期待を力に、離島の課題を負けん気に変えて「初戦突破」を目指す。 (照屋大哲)