牛、牛、牛の牛づくし。人口230人、牛3千頭の竹富町黒島で2月25日、第31回黒島牛まつり(同実行委員会主催)があった。会場の黒島多目的広場に島内外から1800人が来場した。牛汁、牛そば、牛丼。黒島産牛肉を100%使用した出店が並んだ。
牧草ロール転がし、牛の体重当てクイズ、牛との綱引きなど多彩な催しで会場は大盛り上がり。抽選会では1等当選者に夢の牛1頭を贈呈。来場者は飲んで、食べて、参加して牛まつりを“モー烈”に楽しんだ。
25日朝、黒島は小雨交じりのあいにくの天気だった。だが、まつり開始の午前10時になると徐々に晴れ間が広がった。
牧草ロール転がしでは6人1組のチームが約400キロのロールを手で押して転がしながら速さを競った。牛の体重当てクイズでは石垣市から来た長嶺佑美さん(23)が「勘」で406キロとピタリ賞を獲得。3.5キロの冷凍ヒレ肉を贈呈され「豊見城の実家に送ります」と喜んだ。
「サーサーサー」。かけ声と共に太鼓とドラの音が鳴り響く。会場に闘牛「パプリカ」が入場。大人気企画、牛との綱引きの始まりだ。来場者は一斉にスマホやカメラを構える。人間側は5人1組。雄、推定8歳、800キロのパプリカとの真剣勝負。開始の合図と共に、人間側は一気に引きずられる。「うおー、やばい」「手がもぎれる」。秒殺。パプリカはレベルの違いを見せつけて見事に5戦全勝。王者の風格を漂わせ、しっぽを左右にふりながら会場をゆっくりと後にした。
同僚らと共に参加した竹富診療所の医師、関有香子さん(49)は「手ごわかった。勝てる気がしない」とパプリカの強さに圧倒された様子。「楽しかった。来年もチャンスがあれば出たい」とリベンジを狙う。
待ちに待った抽選会。参加者が狙うは1等賞。見事当選したのは石垣市から参加した小学5年生。母やいとこら親族約20人で来た。
「昨年当たらなかったから、周りに優しくして過ごしてきた」。他のイベントでもヤギや航空券を当てるなど強運の持ち主。「宝くじを買いたい」と笑った。
例年、1等当選者は自分で牛を飼育できないため黒島の牛飼いに売ることがあるという。当選者の母(45)は持ち帰るかどうか「家族ミーティングします」とうれしい悲鳴を上げた。 (照屋大哲)