「ジェラシーだった」の声も 辺野古県民投票から5年 軍備増強が進む石垣市で若者らイベント 沖縄 


「ジェラシーだった」の声も 辺野古県民投票から5年 軍備増強が進む石垣市で若者らイベント 沖縄  八重山の現状などについて話す(左から)宮良麻奈美さん、元山仁士郎さん、金城龍太郎さん、三ツ矢真惟子さん=24日、石垣市美崎町
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 名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票から5年となった24日、石垣市美崎町の「Music bar ADN」で、音楽やトークライブを通し、沖縄のこれからを考える「2・24音楽祭2024」(主催・同実行委員会)があった。「辺野古」県民投票の会元代表の元山仁士郎さんが進行役を務めた。登壇者は5年前を振り返りつつ、軍備増強が進む八重山の現状や「台湾有事」などについて意見を交わした。

 トークは2部構成。1部は元山さんのほか、石垣市住民投票を求める会代表の金城龍太郎さんと同会の宮良麻奈美さんらが登壇した。

 金城さんは5年前の県民投票を「ジェラシーだった」と振り返った。「県民投票はできて石垣の住民投票はいまだに実施できていない。類似点と相違点は何だろう」と疑問を投げかけた。

 元山さんは「(基地の賛否について)一人一人に問いたいことや民主主義や自治がテーマというのは類似点ではないか」と答えた。相違点は「米軍基地か自衛隊か」として、米軍に比べ自衛隊に対しては住民の中に「感覚の違い」があったのではないかと語った。

 宮良さんは「根拠となる法律や条例が違う」とした上で、いずれの投票も首長によって実施の有無が左右される事態になったことを踏まえ、「政治家が投票権を左右するのは問題だ」と為政者の姿勢を批判した。

 トーク2部では防衛や安全保障問題を中心に長年取材を続ける共同通信編集委員の石井暁さんらが登壇。石井さんは5年前の元山さんらの動きを振り返り「民主主義を求めるまともな若者が出てきた。少し日本の景色が変わったように見えた」と語った。

 「台湾有事」については2023年8月の麻生太郎自民党副総裁による「戦う覚悟」発言以来、自衛隊幹部らが「あるかないかではなく、いつあるかの問題だ」と口にするようになったと説明した。石井さんは台湾有事を起こさせないために「外交」や「選挙」が大切だと強調した。県や市町村ができることの一つとして下地島空港を県と政府が「軍事利用しない」旨を確認した「屋良覚書」を挙げた。「戦争を起こさない」ためにもこれを広めることを提案した。

 トークの前後には歌手の古謝美佐子さんらアーティストのライブがあり、平和を願う歌声が会場に響いた。来場者は手拍子し、目頭を押さえる人もいた。

(照屋大哲)