【糸満】全国各地の大学生が所属するNPO法人国際ボランティア学生協会は13~20日、糸満市摩文仁周辺で遺骨収集を実施し県内外の学生延べ約50人が参加した。最終日の20日は13人が参加。沖縄戦で首里から撤退した第32軍司令部が拠点を置いた壕の崖下で遺骨を収集した。収集活動で見つかった遺留品の中には、日本兵の認識票もあり、学生協会が遺族への返還につながる情報を募っている。
同協会による崖下での遺骨収集は今回で3回目。同地域は戦後は多くのごみが捨てられる場所になっていた。2020年の1回目は、摩文仁を訪れた人が捨てたとみられる空き缶など約3トンを回収した。22年の2回目は約1トンのごみを片付けた。今回も参加した学生らは堆積する空き缶を取り除き、石を動かし、真剣な表情で土を掘った。頭骨や鎖骨、大腿(だいたい)骨、指の骨などが多数見つかった。
遺骨収集活動のプロジェクトマネージャーで、法政大4年の中川友希さん(22)は「これまで戦争当時を遠いことのように思ってイメージできなかったが、実際に遺骨が見つかり本当にここで亡くなったんだと実感した」と話した。「1日でも早く遺族に遺骨を返し、後輩にも活動を伝えていきたい」と前を見つめた。
立命館大1年の福井実梨さん(19)は「多くの遺骨がきれいな状態で見つかった。戦争の歴史を学ぶだけでなく、戦後の遺体の処理などいろいろな方向から戦争や平和について考え続けたい」と語った。
見つかった日本兵の認識票は、右側に「カ 三五九六」と書かれている。県戦没者遺骨収集情報センターなどによると、歩兵第64旅団独立歩兵第15大隊所属とみられる。認識票は学生協会が保管しており、遺族への返還につながる情報を募っている。情報提供や問い合わせは学生協会事務局、電話03(6751)2683。
(上江洲仁美)