【南風原】7月27、28の両日、南風原町立津嘉山小学校で津嘉山大綱曳きが実施される。津嘉山大綱曳きは、毎年旧暦6月26日に行われる御願綱(うがんづな)と、村に記念すべき大きな出来事や行事がある時に「5月ウマチー」前後の土日に催されてきたウーンナ(大綱曳き)がある。大綱曳きの実施は2003年以来、21年ぶりとなる。区民らが着々と準備を進めている。
近年は、津嘉山地域振興資料館の移築や新型コロナウイルスの影響で実施できなかった。21年ぶりに開催する経緯について実行委員長の金城清区長は「指導者が高齢化し、少なくなっている。地域内の人口が1万人を突破していることもあるが、今実施しないと次につなげられないのではないか」と、継承に危機感があったことを明かす。
道具、衣装類も手作業で新調する。毎週日曜日に大綱曳き用の「カナチ棒」や旗頭などの制作が進められている。責任者の一人の桃原和也さん(54)は「物心つく頃から見ているので使命感がある。子どもからお年寄りまで参加できるのが綱曳きの良いところだ」と笑顔。カヌチ棒の削り作業をする金城繁治さん(45)は21年ぶりの開催に「ようやくという気持ち。若い人に役目をつなぎたい」と話した。
津嘉山大綱曳きの由来は14~15世紀ごろの南山時代に始まると言われ、一番旗は、琉球王府時代の尚敬王の時に御拝領したものだと伝えられている。大綱曳きは侍に扮(ふん)した仕度(したく)が綱の上に立つ演出が一般的だが、津嘉山は竹で編まれた「チナブ」と呼ばれる台に仕度が乗り、数十人の棒持ち人が六尺棒で持ち上げ、左右から歩み寄るといった特徴がある。
2日には、津嘉山女性の会主催による講演会が津嘉山地域振興資料館で開かれ、津嘉山の文化や歴史を研究する城間良和さん=字津嘉山出身=が講演した。津嘉山大綱曳の歴史についての解説を区民ら約100人が聞き入った。
7月7日に津嘉山地域振興資料館で綱打ち、同21日に津嘉山小学校で綱の組み立てがある。大綱を引くのは27日のみで、28日は関連行事がある。大綱曳きの日程は区公認のウェブサイトやインスタグラムで発信する。
(田中芳)