バッタを乗せた小舟、海へ 名護の済井出で「アブシバレー」 五穀豊穣を願う 沖縄


バッタを乗せた小舟、海へ 名護の済井出で「アブシバレー」 五穀豊穣を願う 沖縄 農作物の豊作などを願い、手を合わせる参加者=5月25日、名護市済井出の与那地浜
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 【名護】名護市済井出の与那地浜で5月25日、アブシバレー行事の「虫流し」が行われた。バナナの茎で作った舟に「五穀豊穣(ほうじょう)」の帆を立て、食害を加えるバッタを乗せて沖へ流した。屋我地島の饒平名、運天原、済井出、屋我の4区合同行事で区民ら50人余が参加した。

 元々は稲を中心に五穀豊穣を祈願する儀式だが、今では屋我地地区に田んぼはなく、「五穀」そのものがほぼ消滅した。住民らは五穀に代わる農作物の豊作と無病息災、各地域の子孫繁栄を祈願し、伝統の儀式を守っている。

 初めて参加した屋我地ひるぎ学園の生徒(14)は「アブシバレーの意味や儀式の由来を初めて知った。これからも地域の行事に参加していきたい」と伝統行事の継承に興味を示した。

 「虫流し」終了後は各区から持ち寄ったごちそうを囲み、区民相互の親睦を深めた。

 午後は済井出区(上地友治区長)のアサギ庭で奉納踊りや、道ジュネーが行われた。夕方からは済井出公民館前広場で恒例の沖縄角力大会を開き、角力自慢の若者たちが熱戦を繰り広げた。

 (嶺井政康通信員)