300年の伝統、渡嘉敷の大綱引き 200人が一本勝負 西の勝利で今年は「豊作」? 沖縄


300年の伝統、渡嘉敷の大綱引き 200人が一本勝負 西の勝利で今年は「豊作」? 沖縄 力の限り大綱を引き合い2年ぶりに勝利した西=7月30日、渡嘉敷村役場前大通り
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 【渡嘉敷】旧暦6月25日「六月カシチー」(赤飯による豊穣(ほうじょう)感謝)に当たる7月30日、渡嘉敷村渡嘉敷区(知念優区長)の大綱引き(ウフンナジナ)が村役場前大通りで開かれた。東西の参加者200人余が全長約120メートルの大綱を引き合う一本勝負で、西が2年ぶりに勝利した。大綱引きは300年余の伝統を誇り、西が勝つと豊作、東が勝つと豊漁と言われる。

 かつては各家庭で米作りを行っていたが、近年は高齢化などで稲作農家が減少し、現在は2世帯になっている。綱用のわらは毎年、1期作米を使用し、昨年から、綱引きの1週間前から綱を作っている。

 東西の所定場所で大綱に仕上げ、午後5時45分ごろに綱引き会場に運び込んだ。

 大勢の村民や観光客らが声援を送る中、青年会や帰省した高校生、渡嘉敷中の生徒による東西の旗頭の競演で気勢を上げた後、住民や観光客らが東西の綱をつかんだ。ガーエーなどで熱気に包まれる中、知念区長の合図でカヌチ棒が東西の大綱頭に差し込まれると勝負が始まり、約30秒の激闘の末、人数に勝る西に軍配が上がった。

 綱引き後、区から飲み物が振る舞われ、交流会が行われた。エイサーなどが披露され綱引き行事を祝った。

 9年前に島に移住した歯科医の男性(66)=新潟県出身=は「島に移住以来、綱引きに毎年参加し楽しんでいる。住民が一体となって島の伝統行事を守っているのに感銘を受けている」と喜んだ。

(米田英明通信員)