芸人とタクシードライバーの二足のわらじ
大きな体とスポーツに関する幅広い知識で存在感を放つ「ぎぼっくす」さんは、FECオフィス所属のピン芸人。テレビやラジオなどの活動の傍ら、副業として沖東交通グループのタクシードライバーとして勤務。SNSを中心に芸人目線でタクシードライバーの日常を広く発信している。芸人とタクシードライバー、二足のわらじで活動しているぎぼっくすさんを取材した。
「芸人の副業で大変なのは両立。芸人の仕事が入ったら休まないといけないので。沖東交通さんではスキマ時間に勤務できるところが魅力に感じました」
もともと運転が好きだったというぎぼっくすさん。芸能活動を続けながら2021年11月に沖東交通グループに入社し、二種免許取得のため自動車学校に通い始めた。金銭面での不安も、会社の養成制度を活用することで解決。翌年1月にはドライバーデビューを果たした。
「自分のモチベーションにつながるので完全歩合制を選びました。歩合制って大変そうなイメージがありますけど、頑張れば頑張るほど稼げるので自分の性格に合っているんです」と語る。
同時期にSNSでの投稿もスタート。「#ぎぼっくすタクシー」というオリジナルのタグを付け、タクシードライバーならではのエピソードを、芸人目線で面白く発信している。
「僕がよく言うのは『タクシー運転手はお客さんじゃなくてお客さんの人生を乗せて走る』。いろんな人間模様が見られますし、そこが楽しくて続けられています」
芸人のスキル生かして
乗客が外国人だけの日もあるほど、最近のタクシー利用者はインバウンドの観光客が多い。ぎぼっくすさんは世界各国の首都名を言える特技と、豊富なスポーツの知識を生かし、車中の会話を盛り上げている。「外国人をのせることで外国の文化を学べます。日本にいながら世界を旅しているような気分です」とにこやかに話す。しかし、日本人の場合は相手が話しかけてくるまでは最小限の会話にとどめているという。
「例えば、お客さんがスマホを見ているとき、暇しているのか仕事しているのか分からないじゃないですか。なので、話しかけてくるのを待つなど様子を見ますね。たとえば『暑いな…』って独り言を言うお客さんには『暑いですね。エアコン下げますか?』と声掛けしたり、何かしらのサインがあるので、空気を読むのが大切ですね」
芸人という職業柄、ファンや視聴者が乗車することもある。今の悩みは「暗い人と思われたら嫌だな」ということだそうだ。
「この間、お客さんが降りるときに『いつも見てます。普段は全然しゃべらないんですね』って(笑)。もし僕のこと知っている人がいたら降りるときじゃなく、ぜひ最初に言ってください!僕もうれしいし、会話も弾みます」と笑って話してくれた。
ドライバーを増やしたい
「タクシードライバーを増やしたい」と話すぎぼっくすさんに、必要な資質について聞いてみた。
「歩合制でやる気が出る人、空気が読める人、運転が好きな人は向いていると思います。今は決済など全てアプリで完結できるので、コミュニケーション力に自信のない人でも大丈夫です。人によっては時給制やパート勤務の人もいるので自分にあった働き方ができるのも魅力ですね」
芸人としての今後の目標は、現在組んでいるお笑いコンビ「ビッグボディ」で全国区のテレビ番組に出ること。タクシードライバーとしての目標は、修学旅行などで使う観光タクシーの運転手になるための資格取得だと意気込む。今後のぎぼっくすさんの活躍にも注目したい。
(元澤一樹)
ぎぼっくすさん
本名:宜保貴洋(ぎぼ・たかひろ)
生年月日:1988年9月18日
出身地:那覇市首里
趣味・特技:サッカー・プロ野球・大相撲観戦、幕末、世界各国の首都名を全て言える
Instagram:@gibox_
X(旧Twitter):@gibox918
TikTok:@gibox0918
(2024年8月22日付 週刊レキオ掲載)