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石垣島は「海だけじゃない」 知りそうで知らない魅力を八重山高生がPR 沖縄


石垣島は「海だけじゃない」 知りそうで知らない魅力を八重山高生がPR 沖縄 パンフレットとバードコールを手に石垣島の山の魅力をアピールする大濵優人さん(右)と運道孔太さん(提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 小浜 早紀子

 県内最高峰・於茂登岳(標高526メートル)を抱える石垣島に、山の魅力を通して古里を盛り上げようと活動する高校生たちがいる。八重山高校3年の大濵優人さん(17)と運道孔太さん(17)だ。島内での登山を難易度別にまとめたパンフレットを作成したり、野鳥観察を楽しめる道具の制作・販売に挑戦したりと、「海だけじゃない」石垣島観光の発信を続けている。
 「石垣島の山は何よりコスパがいいです。気軽に登れて、きれいな景色が見られる」。島内での登山について、大濵さんと運道さんはそうアピールする。

 自律型人材育成を目指す石垣市公営塾に2022年12月、2人は同期で入塾。プロジェクト型の学習テーマを探す中で「最高峰があることは意外と知られていないのでは」と着目し「石垣島で山おこしする高校生(山プロジェクト)」を立ち上げた。

 同市内で観光客を対象にアンケート調査を3日間実施した。121件の回答を分析すると「島に山があると知らない」は46.3%、「登ったことがない」は94.2%だった。登らない理由に「海がある」「しんどそう」「危険がありそう」などの声が寄せられた。登山へのネガティブなイメージを払拭し、新たな観光資源につなげようと23年12月、協賛企業を募り、初・中級編パンフレットを作成した。

 同パンフでは初級として、車でもアクセス可能な前勢岳(197メートル)とバンナ岳(230メートル)、中級に屋良部岳(216メートル)と野底マーペー(282メートル)を選んだ。山頂からの風景写真とともに、それぞれの魅力や注意点などを紹介している。当初、100部発行したパンフは、好評を得て2度の増刷。7月末時点で計1600部を用意、配布している。

 登山の道中も楽しんでもらおうと、鳥に似た音を出す道具「バードコール」の制作と限定販売も計画する。地元のうえざと木工からリュウキュウマツの端材の提供を受け、同高美術部がデザインを担当する。

 大濵さんは「(バードコールで)どんなふうに山を楽しんでくれるかを想像しながら、やすりがけなど工程を進めている」と話し、運道さんは「山を知るきっかけになってくれたら。石垣ならではの生き物にも目を向けてほしい」と呼びかけた。

 上級編のパンフ作成にも意欲を見せる2人は、大学受験を控える。山の魅力のひとつに心が落ち着く点を挙げ、「勉強のリフレッシュにもなりますよ」と笑顔を見せた。 (小浜早紀子)