prime

「焦らず、悔らず」師匠の言葉を胸に 重量挙げ73キロ級の宮本昌典 <パリへ挑む沖縄県勢>


「焦らず、悔らず」師匠の言葉を胸に 重量挙げ73キロ級の宮本昌典 <パリへ挑む沖縄県勢> 練習に励む重量挙げ男子76キロ級の宮本昌典=2023年12月18日、埼玉県の東京国際大
この記事を書いた人 Avatar photo 古川 峻

 東京五輪でメダルを逃した悔しさを味わってから2年半。「実力も経験値も、競技人生の総まとめの時期に来ている。パリが集大成になる」。現在、五輪出場権ランキングは男子73キロ級の3位。出場権を得られる10位以内は安全圏にも見える。だが「最後まで油断せず、まずは選考を乗り越えないといけない」と慢心はない。

 東京五輪は、37年ぶりの男子メダル獲得の期待を受けて臨んだ。だが1カ月前に体調を崩し、7位に終わった。悔し泣きした当時を今は冷静に振り返る。「夢に描いて気合を入れ過ぎた。空回りするくらいだった」。現在は試合に臨むスタンスが変わっている。

 2023年5月のアジア選手権。国際大会で自身初の優勝を成し遂げたが、試技中は思いのほか落ち着いていた。「全力だけど余計な力が入っていなかった」。ジャークで日本記録を更新し、世界ランク1位(当時)になった。それでも「パリでどう勝つかしか頭にない」とこれも通過点に過ぎない。

 選考に関わる国際大会はあと2試合ある。大会ごとに段階的に重量を上げ、パリで最高潮に達するつもりだ。「成長するほどに自分の弱点が浮き彫りになる」と伸びしろも感じている。「東京までは勢いだけだった。今は自分に自信がある」。五輪はもはや憧れではない。師匠の三宅義信監督の「焦らず、侮らず」という言葉を胸に、夢のメダルへ近づいていく。 
(文・写真、古川峻)


 みやもと・まさのり 1997年2月3日生まれ。那覇市出身。沖縄工高―東京国際大出、同大職。64年東京、68年メキシコ両五輪で金メダルの三宅義信氏を師とする。