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原点回帰で自らと向き合う パラ陸上車いすマラソンの喜納翼 <パリへ挑む沖縄県勢>


原点回帰で自らと向き合う パラ陸上車いすマラソンの喜納翼 <パリへ挑む沖縄県勢> 練習で汗を流す喜納翼=14日、沖縄市陸上競技場(大城直也撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 大城 三太

 上半身を沈めた前かがみの姿勢で一定のリズムを保ち、黙々とタイヤを回し続ける。

 パリパラリンピック出場を目指すが、代表選考に関する基準が発表されていない。明確な目標が定まらないままだが、モチベーションを維持しながら練習に打ち込んでいる。「目の前のことを一つ一つこなしていくしかない」と後ろ向きな姿勢は一切見せない。

 主に沖縄市陸上競技場で週4日程度の練習をこなす。「持久力やスピードなど全体的な底上げが必要」と原点回帰で自らと向き合う。8月に北海道で行われた「はまなす」のハーフ、10月の「東京レガシーハーフ」で優勝するなど、昨年は成長を実感する1年だった。

 下地隆之コーチは「ハーフのタイムは確実に上がっている。フルマラソンの記録を伸ばすためにもレーサー(競技用車いす)のホイールを別のものに変えて試したい」と、体の一部として扱う器具の重要性を説く。重量のバランスを見極めながら、互いの息が絶妙に合うようにと思案中だ。

 喜納は「上りコースに対する力がついてきた」と1年の成果を振り返り、次の舞台に向けて体を温め続けている。 

(文・大城三太、写真・大城直也)


 きな・つばさ 1990年5月18日生まれ。うるま市出身、琉球スポーツサポート所属。東京パラリンピックで車いすマラソン(T54)で1時間42分33秒で7位に入賞した。