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代執行の要件で主張が対立 国「司法の最終判断で承認を」 県「国の強権的関与は抑制的に」


代執行の要件で主張が対立 国「司法の最終判断で承認を」 県「国の強権的関与は抑制的に」 辺野古側の埋め立てが進む一方、県の設計変更不承認により大浦湾側は未着手となっているキャンプ・シュワブ沿岸部(2022年8月撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 代執行手続きには(1)知事の法定受託事務の管理・執行に法令違反などがある(2)代執行の手続き以外では是正を図ることが困難(3)放置することで著しく公益を害することが明らか―という要件がある。各要件で県と国の主張は対立している。

 国側は(1)について、9月4日の最高裁判決で県の敗訴が確定し「司法の最終判断が示された以上、承認しなければならないことは客観的に明らかだ」と主張した。

 県側は判決について、「公有水面埋立法の法令違反は何ら示していない」として、国が、設計変更申請が公水法の承認要件を満たしていると立証していない以上、請求は失当だと反論した。

 (2)の代執行手続き以外での方法で是正を図ることが困難かどうかについて、国側は判決後も知事が承認していないことから「知事自ら適法に事務遂行を行うことは期待できない」とした。

 県側は、地方自治法の代執行手続きに厳格な要件が加えられていることは、重大な地方自治への侵害となる国による強権的な関与は抑制的でなければならないことを示していると指摘。代執行以外の方法とは「あらゆる方策が対象となる」と主張し、対話による解決の努力をしていないにもかかわらず代執行手続きをすることは許されないと批判した。

 (3)の公益について、国側は、基地建設は普天間飛行場の危険性除去を理由に「(承認しない)違法な状態を放置することは、わが国の安全保障と普天間飛行場の固定化の回避という重要問題にも関わる」とした。

 県側は「異常なのは、戦後78年も戦争の犠牲を回復せず基地を維持し、負担軽減と言って被害者の県民が嫌だと言っている辺野古新基地建設を続ける国の方だ」として、県民の民意を公益として考慮しなくてはならないと主張した。 (沖田有吾)

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