政府は27日、山口県庁に内閣官房職員を派遣し、台湾有事を念頭に沖縄県の離島からの避難民を九州各県と分担して受け入れ、支援するよう県幹部に求めた。避難対象は住民ら12万人を想定。政府によると、九州各県に同様の要請を完了したとしている。
今後は使用可能な宿泊施設や備蓄物資などの情報を集約。情報を基に、政府は来年度中に避難に関する初期計画の策定を目指す。対象とするのは、台湾に近い先島諸島を構成する石垣市など5市町村の住民約11万人と観光客約1万人。
政府や沖縄県は他国による武力攻撃の可能性がある「武力攻撃予測事態」を見据えて避難手順の検討を進めており、3月には図上訓練を実施していた。
政府は10月から避難先と想定する九州・山口各県に順次受け入れを要請。熊本、鹿児島両県には松野博一官房長官が訪問し直接協力を求めた。山口県を27日に訪れた仁井谷興史参事官は松岡正憲総務部長に対し「離島は地理的に本土から遠い。九州と山口で協力してほしい」と理解を求めた。
政府と九州・山口の各県は今後、受け入れ候補となる自治体を選出。各自治体は先島諸島5市町村それぞれのパートナーとして、衣食住の確保や医療提供といった課題を協議する方針だ。
各県への支援要請を巡っては、福岡県は現時点で「正式な要請はない」としている。仁井谷氏は山口県への説明後、記者団に「今後、詳細に説明して足並みをそろえていきたい」と意思疎通を続ける考えを示した。