名護市辺野古での新基地建設に向けて、政府は代執行による埋め立てに突き進もうとしている。その主たる根拠が、オスプレイなどが配備されている米軍普天間飛行場(宜野湾市)の「危険性除去」だ。周辺住民はどう考えているのか。代執行の是非が争われている訴訟の福岡高裁那覇支部判決を前に、記者が宜野湾市民100人から話を聞くと、政府への不信感が広がっていた。
重点的に聞いたのは普天間飛行場の南側。2022年度の騒音指標で環境基準を超過していた上大謝名を含む一帯だ。
「騒音が大変。他に移設のあてもないし、この辺りの人はみんな賛成じゃないか」
オスプレイなどが上空を飛び交う駐車場で誘導員をする男性(75)は、辺野古建設の質問で最も強い賛成の「+3」を選んだ。
孫が近くの小学校に通っている女性(80)も「+3」だ。
「事故が起きたら一体誰が責任を取るのか。反対を何十年言っても、この辺りの人は迷惑なんですよ」。そして、こう加えた。「知事も裁判で負けてかわいそうだけど、どんなして国に勝つの? 日本政府はアメリカの言いなりなんだから」
回答を断る人も少なくない。「軽々に個人の意見を語れない話だ」は、自営業の男性。公園を散歩していた別の男性(65)に声をかけると「難しい問題だね。こっちの騒音も大変だけど」と口ごもり、その場では賛成も反対も選ばなかった。しかし、公園を離れた後、記者の携帯に連絡をしてきた。
「辺野古は埋めても、埋めても水が出てきて、いくらお金を使っても失敗するでしょう。環境も破壊する。辺野古での建設は反対です」
男性は、かつて工事関係会社に所属していた。
100人に聞いた結果は「辺野古反対」が45人。「容認」の人を含んだ「賛成」の39人を上回った。賛否の段階別では、最も強い反対を示す「-3」を選んだ人が最多の33人だった。さらに「普天間の早期返還のため」という政府説明については、「信頼しない」が55人で過半数。「信頼する」の19人を大きく上回った。