林長官に「辺野古中断を」 知事要請、土砂投入後初 普天間危険除去 作業部会開催へ


林長官に「辺野古中断を」 知事要請、土砂投入後初 普天間危険除去 作業部会開催へ 林芳正官房長官(左)に要望書を手渡す玉城デニー知事=28日午後2時54分、県庁(又吉康秀撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 沖田 有吾

 玉城デニー知事は28日、就任後初めて来県した林芳正官房長官と県庁で会談し、普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画の断念などを求める要望書を手渡した。玉城知事は「県民投票で明確に示された辺野古新基地建設に反対する県民の民意をしっかりと受け止め、埋め立て工事を中断し、問題の解決に向けた沖縄県との対話に応じてほしい」と求めた。 

 10日の大浦湾側への土砂投入後、知事が閣僚に工事中断を直接求めたのは初めて。林氏は会談後の会見で「引き続き、地元への丁寧な説明を行いながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するために辺野古移設に向けた工事を進めていく考えだ」と、従来の見解を繰り返した。

 玉城知事は普天間飛行場の危険性除去について、負担軽減推進会議を早期開催して運用停止に向けた具体的なスケジュールの作成などに取り組むことを求めた。林氏は会談後「(同会議の)作業部会を開催する方向で調整していきたいと伝えた。沖縄県側ともさまざまなレベルで意思疎通を図っていきたい」と話した。

 会談は15分間で、冒頭以外は非公開。知事は冒頭、沖縄振興予算の確保や物価高騰への対応、基地問題の解決など15項目の要望書、PFAS対策実施を求める要請を手渡した。

 玉城知事は会談で、国内の米軍専用施設面積の約7割が沖縄に集中している現状について50%以下にする目標を日米で設定し、日米特別行動委員会(SACO)の協議を始めて沖縄を加えることや、米軍のオスプレイの配備撤回を求めた。

 政府が安全保障上で必要性が高い空港や港湾など民間インフラ施設を指定する特定利用空港・港湾(特定重要拠点)については、特に予算面で沖縄振興予算の外に位置付けられるかなどの詳細が不明だとして、引き続き調整したいと伝えた。

 林氏の沖縄訪問は、昨年12月の就任以来初めて。当初は大浦湾側へ土砂投入より前の1月上旬の訪問を予定していたが、能登半島地震対応のため、延期されていた。林氏は知事との会談に先立ち、渡具知武豊名護市長、桑江朝千夫沖縄市長、松川正則宜野湾市長らとも会談し、基地問題について意見交換した。

 玉城知事は、会談後「引き続き対話する機会がつくられると期待したい」と話した。

(沖田有吾)

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