玉城デニー知事は27日、沖縄国際大学の授業に特別講師として登壇し「新・沖縄21世紀ビジョン基本計画」の説明や基地問題、貧困問題などについて授業をした。質疑応答で、学生から「(名護市辺野古に)基地が完成してしまった場合、沖縄県政はどうするのか」との質問があり、玉城知事は「万が一造られた場合には、キャンプ・シュワブの部隊は県外もしくは日本国外に早期に移転してほしいと要請することになると思う」と答えた。
玉城知事はこれまで、「辺野古に新基地は造らせない」と繰り返してきたほか、埋め立てが計画されている大浦湾に軟弱地盤が存在していることに触れ「絶対にできないと思っている」などと反対の立場から完成を否定してきた。新基地完成後の対応について言及するのは極めて異例。
授業は法学部地域行政学科の学生を中心に約100人が受講した。玉城知事は「21世紀ビジョン基本計画」や沖縄の米軍基地についてまとめた冊子を使い県の施策を紹介した。
「基地が完成してしまった場合」の県政の対応に関する学生の問いに対し、「法律上の仕組みでそれを認めざるを得ない立場に置かれるかもしれない。行政は法律上、そこに抵抗することができない」と述べた。
その上で、「多くの県民には、依然として基地の使用に反対する声が残り続けるのではないか」とし、部隊の県外・国外移転要請に言及した。
また、南西諸島の自衛隊基地増強についても触れ、「兵器を置いている場所」が他国からの攻撃対象となる可能性を説明。「沖縄は民間地域の中にいろんな軍事施設が混在している。米軍を抱えている沖縄に、これ以上、安全保障という名目で基地を造りだしてはいけない」と語った。
県が大浦湾側の軟弱地盤の改良に伴う設計変更申請を不承認とした処分についても言及し、「日本政府は基地を造るための計画を強行して進めようとする。沖縄県民は一国民として平和でまっとうな生活をしたいと要求しているだけにもかかわらず、米軍基地を押し付けられてさまざまな弊害が出ている」と指摘。「日本政府の主張が裁判で認められ、沖縄県の立場がどんどん追いやられている。皆さんも自分の問題としてしっかり考えてほしい」と学生に向け訴えた。
(嘉数陽)
基地問題解決へ「うちなーんちゅの正義を訴える」 玉城デニー知事、米国へ出発 …
沖縄県の玉城デニー知事は8日午前、沖縄の基地問題解決に向けて米政府関係者らに直接訴えるため、米首都ワシントンに出発した。那覇空港で同日午前10時ごろ、知事を支 …