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PCB廃棄物処理、室蘭へ 国が受け入れ要請 沖縄の米軍分も含む 輸送費など日本側の負担増大か


PCB廃棄物処理、室蘭へ 国が受け入れ要請 沖縄の米軍分も含む 輸送費など日本側の負担増大か 米軍基地内にあるPCBを含む蛍光灯安定器(沖縄県への情報開示請求で琉球新報が入手した資料より)
この記事を書いた人 Avatar photo 新垣 若菜

 人体に有害なポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物を巡り、沖縄分も受け入れている北九州市にある政府全額出資の処理事業所が3月末で閉鎖することを受け、環境省が北海道室蘭市に今後の発生分の受け入れを要請していることが8日までに分かった。

 北九州の施設ではこれまで、日本政府が処理費を肩代わりする在沖米軍分も処理しており、室蘭での受け入れが決まれば、輸送費なども含めさらに日本側の負担が増大する可能性がある。

 高濃度PCB処理事業所は国内に5カ所あり、そのうち北九州、大阪、豊田の西日本エリアにある3事業所が3月末で事業終了が決まっている。北九州では1月31日に最終搬入を完了した。残りの北海道(室蘭)と東京事業所は26年3月に終了予定としている。

 環境省は昨年12月21日、西日本エリアで高濃度PCBが「万が一」発見された場合の受け入れを室蘭市に要請。市からは「総合的に判断したい」と回答があったという。同省担当者によると、受け入れ先が決まるまでは所有者が保管する。

 国内での処理が進む一方で、全国の在日米軍施設にはいまだ総量不明のPCB廃棄物が残存している。2003~22年度の20年間で、確認できるだけで約462・53トンを日本側が引き取って処分。費用は約4億5千万円で、うち8割が県内の米軍施設から搬出されていた。

 室蘭市の担当者は琉球新報の取材に対し、「まずは住民説明が必要で、まだ受け入れるかどうかは決まっていない。米軍分に関する説明は特に受けていない」と回答した。

 (新垣若菜)