【東京】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設工事の関連事業への出資に絡み、会社経営者の50代男性=名古屋市在住=が、東京都内の会社経営者(60)に9億円をだまし取られたとする詐欺被害を訴えている件で、警視庁が詐欺罪での告訴状を受理したことが9日までに関係者への取材で分かった。関係者によると、警視庁は詐欺容疑などを視野に捜査を進めているという。本紙が2023年8月9日付で報じた辺野古を巡る投資トラブルは刑事事件に発展した。
告訴状や関係者の証言によると、詐欺罪で告訴されたのは、コンサルティング業などを手掛ける東京都内の会社経営者。
被害男性は、20年3月から12月にかけて「辺野古の米軍基地移転に関する事業」などへの出資を名目に、会社経営者に計9億円をだまし取られたとしている。被害男性は、会社経営者との間で交わした契約に基づく「対価」と称する実質的な配当が契約通りに支払われなかったことから、告訴に踏み切った。
会社経営者は、被害男性に出資を呼びかけた事業について、辺野古の埋め立て工事に関する「重機のリース業」などと説明。この事業は、辺野古の地元団体「一般社団法人辺野古CSS(キャンプ・シュワブ・サポート、CSS)」の当時の事務局長が運営する別の一般社団法人が手掛けるとしており、出資の勧誘があった20年3月の会食の現場には元事務局長が同席していたという。
投資トラブルを巡り会社経営者は昨年3月、本紙取材に「そういう話ではない」などと被害男性との認識の違いを強調。自身の設立した一般社団法人が、事件になった出資話の関係先とされたCSS元事務局長は同4月、「こちら側で話せることはない」などと答えていた。
被害男性は、18年12月から辺野古の土砂投入が始まった点や、辺野古の地元関係者とのつながりを強調されたことで「出資を決めた」としており、国が積極的に推進する辺野古の「国策事業」としての側面が、被害につながったという見方もある。
(「幻影の辺野古マネー」取材班)
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「辺野古」投資巡り告訴受理 警視庁 男性「9億円、詐欺被害」を訴え <幻影の辺野古マネー>
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琉球新報朝刊