棚の奥から見つめる小さな「影」は…アカヒゲ 国指定天然記念物が工房に営巣 沖縄・大宜味


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木材が置かれた棚の奥に巣を作り卵を温めるアカヒゲのメス=21日、大宜味村喜如嘉

 【大宜味】沖縄県大宜味村喜如嘉の木工房「椋(むく)」で、国指定天然記念物のアカヒゲが物置棚に巣を作り、卵を温めている。工房の主の山川均さん(60)は「うるさい環境なのに、逃げるでもなくそばで作業を見守っている」と不思議がる。

 営巣に山川さんが気付いたのは、仕事で工房を留守にし約10日ぶりに戻った18日。普段通りに万能機で木材を切っていると、1メートルほど先にある高さ約1メートル30センチの棚の奥からこちらを見つめる小さな「影」と目が合った。

 棚に置いた木材の後ろに巣ができていた。以前から壊れた換気扇の隙間を通ってアカヒゲが出入りし、巣の跡を見つけたこともあるが「こんな近くに作ったのは初めて」。観察すると卵は2個ほど。つがいで出入りし、1羽は立てた木材の先で「見張り役」をすることもあるという。

 万能機の大きな音が気になる山川さん。「卵の生育に響かないか心配だが、仕事しない訳にもいかない。無事にひながかえるといいのだが」とやきもき。当のアカヒゲは怖がるでもなく、卵を温めながら山川さんを静かに見守っている。卵がふ化し、ひなが巣立つまで両者の見守り合いはしばらく続きそうだ。
 (岩切美穂)


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