【浦添】米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の移設が計画される浦添西海岸を守ろうと、県民有志が埋め立て反対を呼び掛けるオンラインの署名活動を始めた。活動の中心は釣り系ユーチューバーのてるりんさん(46)とサーファーのもーりーさん(45)の2人で「那覇近郊に残された『奇跡の海』を埋めないで」と呼びかける。昨年11月から始めた署名活動は4カ月で3万2千人余りが賛同した。目標は5万人で、5月末まで活動を続ける予定だ。
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遠浅の海が広がる浦添西海岸は「宝の海」として地域住民から愛され親しまれてきた。干潮時にはイノー(礁池)が顔を見せ、週末には潮干狩りや海遊びを楽しむ光景が広がる。
那覇軍港の移設計画を巡って国と県、那覇、浦添両市は昨年10月、新たに整備する民港部分の北側に「T字型」の軍港代替施設を設置する埋め立て形状案を了承した。直後にてるりんさんのツイッターには、釣り仲間から「釣り場がなくなる」と不安の声が多く寄せられたという。
玉城デニー知事を筆頭に多くの政治家が埋め立てを容認する立場を示したことから、2人は署名活動を始めた。「政治が反対しないなら市民一人一人が声を上げて世論を動かすしかない」と思い立ち、署名活動と同時にツイッターデモ(ツイデモ)も始めた。ツイデモは、複数のユーザーが同じ時間帯にハッシュタグ(#)と同一のキーワードを投稿するもので、2人は多くの人がツイデモに参加すれば、埋め立てを止める原動力になると考える。
毎週末の午後8~10時にはツイッター上で「#浦添西海岸埋め立て反対」と訴える。デモは広がり、最初の1週間は毎日トレンドに入った。今も数百人が参加し「子どもと遊べる海がなくなる」「軍港も人工ビーチもこれ以上いらない」などの声が寄せられる。
活動周知のため、月1回は浦添西海岸でイベントを開く。埋め立て計画のことを初めて知る人が多い一方、その場で署名に賛同する人も多いという。もーりーさんは「知らない人がいるのも、政治家の問いかけのなさが原因」と指摘する。
てるりんさんともーりーさんらが活動する美ら海を未来に残したいうちなーんちゅの会は26日、「てぃだの浜RUN&WALK」を開催する。午前11時半~午後2時半。浦添西海岸の約4キロを個人のペースで歩いたり、走ったりする。問い合わせは電子メールcyuraumimirai@gmail.com
(比嘉璃子)
署名呼びかけのサイトは以下から。
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