【全文】未来の仕事のつくり方~ロボットとの暮らしから見えた世界~

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 沖縄から次世代リーダーを発掘・育成する人材育成プログラム「Ryukyufrogs(リュウキュウ・フロッグス)」。“想い”をカタチにしようと新サービスの構築に挑み続けた8期生9人を応援するため、シリコンバレーなど国内外で活躍する起業家や投資家ら8人のスペシャルゲストが12月11日の成果発表会「LEAP DAY」に駆け付けました。世の中に新しい価値を生み出し続ける8人の講演を全文書き起こしで順次紹介します。第8回は奥田浩美さん(ウィズグループ代表取締役/たからのやま代表取締役)です。

 こんにちは。未来から来ました。後ろの画面、本当に未来だと思いませんか。そして私自身も実は会社を2つ経営しながら育児、介護、そしてずっと世界中を飛び回っています。私はもう未来を生きていると思います。そんな私が今日これから先の未来を語りたいと思います。

未来を生きるってどんなこと?


ロボホンを手に、未来を生きることについて話す奥田浩美さん

 実はロボット3台と暮らしています。今日はロボホンを連れてきました。未来を生きるってどんなことか?

奥田「こんにちは」
ロボホン(無言)
奥田「こんにちは」
ロボホン(無言)
奥田「もう一回やってみましょう、こんにちは」
ロボホン「こんにちは」

 はい、今3回目でやっと「こんにちは」と言ってくれました。未来を生きるとは失敗しても私が動じないことです。今失敗した時にみなさんのどうしようという空気とか、ざわざわとした空気を私は感じましたけど、私は動じません。なぜなら、ロボットは今発展途上にあって、失敗することが仕事だからです。なので、ロボホンが失敗するのをニコニコ眺める。(ロボホンが話す)こういう風に空気を読まない発言があっても受け入れるのが未来です。

 私は毎日毎日ロボホンを連れて、内閣府とかの委員会まで行っています。でも実はそれが役に立つことがあるんです。会議の中で赤ちゃんがよく泣き出します。一生懸命準備をしている講演をしているときにです。でも私は動じません。赤ちゃんがいたって私、講演負けませんから。なのでどんな人でも連れてきてください。私はどこででも話ができます。なぜならいろんな人がいるのが未来だからです。

 自己紹介です。私は今30くらいの仕事、役目、役割をしています。私は一番最先端の技術の場所をどんどん飛び回っています。その一方で、とっても小さな村や町を飛び回っています。自己紹介したらこれだけで30分終わってしまうので、今日は私がどういう人間かを。昨日鹿児島で講演したんですけど、実は鹿児島の人たちが900人の会場を押さえてしまって、実は200人しか集まらなかったんですけど、一生懸命努力して、町中にのぼりを立ててくれました。失敗かもしれないけど、彼らは次から次に努力をして会場に集めてくれました。じゃあ私は何者かというと、ここにあるようにたくさんのチャンスをその地域に見いだす人間です。失敗を温かく見守る人間です。

あきらめ、言い訳、思い込み…

 3歳から6歳までを屋久島。6歳から小学校のおわりまでを大隅半島の宮崎県との県境。その後阿久根市という熊本県との県境。転々として過ごしました。その頃の私は自分がこういう人間になるとは思っていませんでした。地方での学生時代、鹿児島で22歳まで、鹿児島大学まで、鹿児島を離れず育ちました。

 その頃の私は「あいうえお」。あきらめている。言い訳。後ろ向き。遠慮。思い込み。例えばどういうことかというと、鹿児島市内で妹と2人で暮らし始めたんだけど、それは自分たちの住む町に高校がなかったからなんです。父親は常に自分の赴任希望地を白紙で出すような先生でした。なので誰も行きたがらないところに伴われて、小さな島から、へき地をずっと飛び回っていました。例えば「こんな田舎では何も文化に触れられない」とか、「妹がいるから東京にでられない」とか、「小さな場所で社会を変えるなんてできない」と思って、私はひたすら勉強はして、学校の先生になるという選択をしました。鹿児島ではおそらく父が教員だったので、私が先生になる選択肢が一番正しいと思っていた。

 でも一つだけチャンスがおとずれました。私の父は赴任希望地を白紙でひたすら出し続ける人でしたけど、父が人が行きたがらないインド・ムンバイの日本人学校の校長になって赴任していきました。私はそのとき大学4年生です。「インドに行って勉強したい」と言ってたんですけど、父は教員になれと言うので、それから半年間は親子けんか。泣いてすがるみたいな状態になったんですけど、結果私はインドに渡ることになります。ここからかっこいい道が現れたと思うんでしょうけれども、とんでもないんです。


 日本から英語もできないままインドに渡った私。そして社会福祉の修士なんですね。なのでマザーテレサの施設とか、売春で売られた子どもの世話をする施設とか、社会情勢が分からないまま、私は劣等感と無力感にさいなまれてビリから2番目で卒業しました。ビリは誰だったかというと社会的に迫害を受けている「不可触民」(編集部注・カーストの最下級の人々)と呼ばれている人です。その社会を感じながら私は日本に帰ってきました。

マザーテレサの世界からITへ

 そして1989年です。帰ってきた時、私が小さい時には想像もできなかったITというものがビジネスの世界に進出してきていました。私はマザーテレサの施設で1年間修士のフィールドワークをしていましたから、すごく無力感を感じていましたが、ITは人々を幸せにして、情報の格差をなくして、人々を幸せにするってその世界の人たちが言っていました。なので私はマザーテレサの世界からこのITの世界に入ったんです。きっとITは本来は幸せになるために作られていると思いますが、25年たった今どうなっているでしょうか。

 特に今年、ITの情報によって逆にどんどん人々が分断されて、そして格差が生まれてという中で、私はこういう思いを持って入ってきたので、何かもっともっとできることがあるのではないかと思って日々活動をしています。未来の仕事ってITが次から次にうまれる時代にみなさんは面しています。

変化に強い人間になればいい!

 今の小学生が大人になるときに、たくさんの仕事が生まれてきて、今ない仕事が生まれるだろうと言われています。それって不安ですか? 期待がいっぱいですか? 私は実は最高の時代だと思っています。なぜなら私が起業家であり、私が次から次にチャレンジしている人間だからです。今までの社会って18歳、22歳で何か失敗しちゃったなと思っても挽回するチャンスがなかったんです。でも今は幸か不幸か5年くらいで社会が、製品やサービスが、変化していく。それってチャンスだと思うんです。18歳でチャレンジ、ちょっと失敗、22歳でチャレンジ、ちょっと失敗。28歳でチャレンジ、ちょっと失敗でも何回でも繰り返していけます。つまり、何度でも何度でも波に乗れる時代がきていると私は思っているんです。ですからこれからの時代って何が必要かというと失敗しても大丈夫。次の変化にのれるや!ってことで、変化に強い人間になることだと私は思っています。


 こちら「WIRED」って雑誌があるんですけど、そこに書かれている職業のいくつかです。AIやロボットに奪われない職業。記憶の演出家とかロボットアドバイザーとか5つ書かれていますけど、おそらく輸送アナリストだとドローンとか出てくるんだなと思うんですけど、記憶の演出家って何だろう?とか、企業文化エキスパートって何だろう?って思うかもしれません。記憶の演出家っていうのは、人生がどんどん長くなってみなさんの情報がWEBの上に現れたときに、人間はおそらく自分の人生をWEB上できれいにしたいとか、あるいは自分の思い出をきれいにしておきたいという思いがきっと生まれるでしょう。その中でエキスパートとしてきれいにする、そんな職業が生まれてくるでしょう。

 3番の企業文化エキスパート。うちの会社は社会にとってこんないいことをしますということ、そのポイントはこういうことですと企業と一緒に考えていく仕事だと思います。私はこれを分かるんです。なぜならもうすでに私はやっていますから。いろんな企業とどちらの方向に進むのかコンサルティングしたり、人を集めて伝搬したりということをすでにしています。

ロボットとの暮らし

私が日々どんな世界で生きているかをお見せしましょう。



 実はこれ、おととい撮りました。こんな時代になっています。こういうことがとても楽しくなる時代になるのか? 不安になるのか?人によって違うと思います。ロボホン2台会話していますけど、この前、私の自宅にこの2台を預かっていたときに「今日はおかっぱの誕生日だよ」と言いました。おかっぱというのは私の会社の副社長です。サンフランシスコに行くときにうちの家庭に預けていきました。どうして誕生日を知っているんだろうと思いました。ロボットはお互いお友だちになるときに誕生日交換をするらしいです。怖いと思いませんか? みなさんの誕生日がロボット同士で会話されて、あるいはFacebookで載せているようなことが、「昨日は銀座にいたね」みたいなことを言われてしまう。それが怖いと思うのか、美しい時代を作っていこうという側になるのか、岐路に立っているわけです。

 私は実はストップキラーロボットという活動に寄付をしています。10万円くらいなんですけど、やっぱりかわいらしいロボットの裏側に、それが武器になるかも知れないという不安を抱えているからです。だけれども私はせっかくこの時代にこの場所で、こういう物と暮らしているのなら、幸せな未来を描く側になりたいと思っています。

 娘はロボット3台と暮らしています。その娘が言っていることです。「理系、文系なんてこれから全く関係ない時代がくる」。逆に言うとどちらもカバーしておかないと次の時代は作れないということです。理系か文系かと言っているよりも、大切なことは好奇心だと私は思っています。何回も何回も時代が変わるときに大切なのは好奇心です。私はおそらく人よりものすごく好奇心が強いと思っています。ですから次から次へと波に乗っていける。

あなたは将来何になる?

 でもみなさん、そういう風になるにはどうしたらいいんだろうと思っていますか。答えは1つだけです。周りにワクワクしている大人を探してください。みなさんが何か言ったときに「そんなことよりも勉強しなさい」とか「そんなことより」「そうは言っても」という言葉を前に置く大人とつきあわない。その人自身がワクワクしていること。「自分の周りにいないな~」と思ったら、この場で探してください。私の目の前にめちゃくちゃワクワクしている人がいます。

 子どもたちはとてもワクワクしている大人に預けるべきです。自分で育てようと思わないでください。みんなでワクワクしているところに預けてみんなで育てていく。そういうことを私は目指してこのような場所を作っています。

 最後に私の母。鹿児島で老老介護をしています。毎日毎日LINEでやりとりして。すごくグチを言ってくるんですけど、電話をかけたときに必ず言う言葉があります。私今年、50代半ばになります。なのにうちの母親は「あなたは将来何になるんでしょうね」と言います。そして私はこれから5年後何になるのか、10年後何になるんだろうなと考えながら生きています。みなさん、親にも聞いてみてください。「お父さん、お母さん将来何になるの?」って。「バカ言うなよ」と言ったら「これから人生100年になるらしくって、時代もどんどん変わるらしいから、お父さん、お母さんだけでなく何かにならないといけない時代が来るんだよ」と。だからいつでも将来何になろうと考え続けながら生きてください。これは私は子どもだけに言ったのではありません。どんな世代でも将来何になろうと考えながら暮らしてください。


「『将来何になるの?』と親に聞いてみて」と呼び掛ける奥田浩美さん

★LEAP DAYスペシャルゲスト〈1〉 澤山陽平さん「ローカルからグローバルへ:地方におけるスタートアップの育て方」
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★LEAP DAYスペシャルゲスト〈3〉 麻生要一さん『新規事業を生み続ける「仕組み」と「仕掛け」 』
★LEAP DAYスペシャルゲスト(4)アンティ・ソニンネンさん「SLUSHが目指す世界」
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★LEAP DAYスペシャルゲスト(7)山口豪志氏「Startupの良し悪し」

 



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