泡盛・古酒どれが好き? 7種類を飲み比べて驚いた!


この記事を書いた人 仲程 路恵

〜古酒試飲会レポート〜

8月6日、那覇市港町の沖縄県酒造協同組合にて、古酒7種類を飲み比べる試飲会が開かれた。レキオ記者も会場を訪れ、古酒の香りと風味がバラエティーに富んでいることを実感した。その様子をレポートする。

個性豊かな香りと味わいを体験

会場の扉を開けると、えもいわれぬ香りが漂ってきた。甘みを帯び、うっとりするような芳香だ。

テーブルの上には、古酒7種類のビンとグラスが並べられている。番号だけが付けられ、年代と銘柄は明かされていない。セレクトされたのは、各酒造所自慢の古酒。中には、貴重な35年貯蔵古酒もある。

試飲に臨むのは、酒造協同組合と各酒造所から集まった目利きの面々。泡盛醸造の第一人者、照屋比呂子さんの姿も見える。僭越(せんえつ)ながら、レキオ記者も参加させてもらった。

記者は飲み比べは未経験。プロの皆さんの見よう見まねで、飲み比べを体験してみる。

最初に水で口をすすぎ、味覚をリセットして試飲スタート。まず香りを確かめてから、少量を口に含む。7種類すべて風味が違っており、「古酒といってもこんなに違いがあるのか」と、バラエティーの豊かさに驚く。とりわけ、香りの個性が際立っている。

試飲会の風景。会場には、えも言われぬ熟成香が漂っていた

試飲後、印象を1つずつ、香りと味の印象をシートに記入するが、これがなかなか難しい。「キノコのような」「豊かな土の香り」「バニラのような甘み」など、言葉を探すが、何層にも複雑な風味が折り重なっており、一筋縄ではいかない。微妙な違いを峻別(しゅんべつ)するプロの腕前はさすがと唸(うな)らされる。

すべての種類を試飲したあと、年代、銘柄を発表。一人ずつ感想を述べ、会は終了となった。照屋比呂子さんは、「古酒のいいものには、独特の甘く華やかな熟成香がある。この香りを多くの方たちに知ってもらいたいですね」とコメント。古酒についてもっと知るには、尚順男爵のエッセー(尚順遺稿刊行会 『松山王子尚順遺稿』)を読むといいですよ、と記者に耳打ちしてくれた。

人にはそれぞれ試飲、その人なりの個性があり、年齢を重ねるに連れ円熟していく。古酒もそれと同じだ、と試飲会を通して実感した記者。読者諸氏も、いろいろな古酒を飲み比べ、相性のよい古酒を見つけてほしい。

酒造所探訪

上原酒造株式会社

イオンの力でまろやか風味実現

糸満市に酒造所を構えて約70年の上原酒造。3代目社長・上原長榮さんのもと、「酒は百薬の長」と信じ、体に優しくおいしい酒づくりを行っている。県および沖縄国税事務所の泡盛鑑評会で11回の県知事賞受賞歴を誇り、品質は折り紙付きだ。

1994年に業界唯一の取り組みとして、「電子技法」を導入した。約900坪の敷地内10カ所に炭素を埋め込み、土地のマイナスイオン化を促進。原料である米や水にも独自の装置でマイナスイオンをチャージし、工場内では天井からマイナスイオンのシャワーを降り注がせている。

「マイナスイオンの効果により、水と原料が持つ本来の良さが出しやすくなる。古酒化も進みやすくなり、飲みやすくまろやかな風味になる」と上原さんは胸を張る。

主力商品は「神泉」「群青」「琉刻」。古酒の品ぞろえが豊富なのも特徴で、「自宅で古酒づくりに挑戦したい人は、神泉の酒づくり用原酒44度がオススメ」と教えてもらった。

社長の上原長榮さん

沖縄県糸満市字座波1061
☎︎098-994-6320

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現在、工場見学は行っていません

忠孝酒造株式会社

自社で古酒甕も製造

豊見城市の忠孝酒造(大城勤社長)は、泡盛文化の継承と新たな創造を提案し続けている。古酒に欠かせない甕も自社で窯をもち、土づくりから焼成まで行う。「琉球城焼」は、密閉性が高く、陶器の上質なミネラルが泡盛に溶け出して、熟成を促進させながら良質な古酒に育つという。

自宅で古酒造りをする時の秘訣(ひけつ)を泡盛マイスターで同社企画課の徳田安史課長に聞くと「年に1度、仕次ぎをすることが大事。1割程度飲んで味を確かめ親酒となる古酒より少し若い古酒を飲んだ分だけ継ぎ足すのがポイント」「一家で育て、受け継ぐもの『家酒家宝』という信条があります。家族の思い出とともに熟成し記憶に残る唯一無二の古酒を味わっていただきたい」と話していた。

また、泡盛の魅力を発信する施設「くぅーすの杜忠孝蔵」は、製造工程の見学や展示販売、古酒を預かる地下貯蔵庫がある。さらに、9月2日に行われる「古酒の日」特別イベントでは、古酒甕で熟成した限定古酒「甕熟成十四年古酒」の販売や古酒造り講座などを実施する。
 

土づくりから焼成まで、甕の製造も自社で手がける

「くぅーすの杜 忠孝蔵」  豊見城市字伊良波556-2
    ☎︎098-851-8813
酒蔵見学入場無料(元日休館)
営業時間=9時〜18時(酒蔵見学17時まで)
http://www.chuko-awamori.com/
 

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(2018年8月30日 週刊レキオ掲載)