TSUTAYAスタッフのSNS炎上から考える、ネットにまつわる問題点 モバプリの知っ得![82]

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レンタルビデオショップ大手のTSUTAYAは11月15日、アルバイトスタッフのツイッター投稿に「大変不適切な表現があった」として謝罪しました。

アルバイトスタッフは自分の好きな音楽グループ「BTS(防弾少年団)」の悪口をお客さんが言っていたことを聞き、「許さないからな」「個人情報を取り扱う仕事上、名前から性癖まで暴露可能だ」とツイッターに投稿していました。

これだけでは終わらず、この投稿によって炎上状態となったアルバイトスタッフの個人情報が特定された上で拡散され、通っているとされる大学に爆破予告のメールが届き、警察が出動する事態へと発展しました。

この騒動は「ツイッターでの問題発言」「ネットリンチ」「差別的な言動」と、インターネットにまつわる様々な問題点がつまった、学びの多い一件となりました。



業務情報の取り扱いには気をつける



ことの発端は、アルバイトスタッフのツイッター投稿でした。

“私は今日TSUTAYAでバイト中に聞こえてきたよ。「韓国人の紅白取り消しになった男のアイドル、頭おかしい」って言ってること。許さないからな”

“個人情報を取り扱う仕事上、名前から性癖まで暴露可能だ(笑っている絵文字)”
※いずれも現在は削除済み

このような投稿がネット上で問題視され、TSUTAYA側もアルバイトスタッフの投稿を認め、会社として公式に謝罪することになりました。



http://www.tsutaya-ltd.co.jp/information.html ※TSUTAYA公式ホームページより



私たちは多くの個人情報を、企業やお店に提供しています。企業やお店を信頼した上で提供しているのですが、今回のように店員から個人的な「復讐」に使われる可能性があるとなると、とても不安になります。

ましてやTSUTAYAでは、本の販売、レンタルCD・DVDなどの業務を行なっております。個人情報を自由に扱える側の人が、個人の趣味嗜好に深く関わるデリケートな情報の暴露をほのめかすことを、より不快に感じる人も多いでしょう。

個人情報に限らず、業務情報・会社の機密がSNSに投稿されると、会社の信用をも左右します。軽い気持ちで行った投稿が会社に大打撃を与えることがあるため、最大限配慮する必要があります。
 



ソーシャルジャスティスウォリアーにならない



イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

アルバイトスタッフの投稿はネット上でたくさんの批判が集まり、炎上状態となりました。エスカレートして歯止めが効かなくなるのが、ネット炎上の特徴。過去の投稿から個人名や大学名などがすぐに特定されます。

炎上したスタッフの個人情報は、「トレンドブログ」と呼ばれるサイトが「炎上したアルバイトスタッフの本名は?通っている大学は?」といったようなタイトルの記事で、情報をまとめられて拡散されました。トレンドブログは広告収入を得る目的で開設されており、アクセス数を稼ぐために炎上したユーザーのさまざまな情報をまとめて、人々の野次馬根性を満たす役割を果たします。



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今回の事件のきっかけとしては、アルバイトスタッフの過激な投稿だったかもしれません。しかしながら、そうした「落ち度」があったからといって、個人情報をさらし誹謗中傷を行う権利は、私たちにはありません。

ネット上での私的制裁を「ネットリンチ(私刑)」と呼び、正義感からネットリンチを行う人たちを「ソーシャルジャスティスウォリアー」と呼びます。

ソーシャルジャスティスウォリアーの皆さんは「良い行い」だと思って行動をとっているかもしれませんが、実際は「ネットリンチ」という二次的な問題の加害者になっています。



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今回の事件では、アルバイトスタッフが通ったとされる大学への爆破予告が発生する事態にまで発展しました。このようにネットリンチがたどり着く先は「犯罪」となる場合もあるのです。

炎上を見かけた時はソーシャルジャスティスウォリアーとなってネットリンチを行うのではなく、こうした問題が自分の周りでは起こらないか、自らを振り返るキッカケにする姿勢が求められています。
 



差別に加担しない



今回アルバイトスタッフが過激な投稿をした理由は、店舗に訪れていたお客さんが韓国の音楽グループ「BTS(防弾少年団)」に対して批判をしていたことがきっかけでした。

BTSに関しては、グループメンバーの1人が、過去に「原爆投下を揶揄するTシャツ」を着用していたとして批判が殺到。11月9日に出演予定だった音楽番組「ミュージックステーション」への出演が見送られる事態となりました。

ちょうど同じ時期である10月30日、韓国の最高裁は新日鉄住金に対し元徴用工の韓国人4人に対し損害賠償を命じる判決を出しています。

「徴用工」は太平洋戦争時、強制労働させられた人たちのことです。日本政府と韓国政府は1965年の日韓請求権協定にて徴用工問題を「解決済み」としてきましたが、10月の判決で賠償命令が出たことから、日本国内から韓国司法への批判が高まっていました。

こうした日韓間での様々な問題が下地としてあったところで、BTSのファンを公言しているアルバイトスタッフが批判に反応して、問題の投稿をしました。

しかし、こうした日韓問題の鬱憤を、このアルバイトスタッフにぶつけるために「ネットリンチ」をしているような投稿や、韓国を差別するような投稿なども多く見られました。

現在のネット上では、中国や朝鮮半島にルーツを持つ人たちへの差別が溢れています。これらの国とは外交からはじまり、尖閣諸島や竹島をめぐる領土問題、徴用工や従軍慰安婦などの歴史的な問題を多く抱えているため、この問題に対して様々な感情を持っている人も多いでしょう。

しかしながら、相手国の「政府」ではなく、「人種」を一緒くたにして、差別的な言動を発することは、紛れもないヘイトスピーチであり、対象となる外国人の人々を傷つけ、苦しめます。また人を傷つけるだけでなく、差別的な言動を続けるとレイシスト(差別主義者)と思われて、仕事を失う可能性も出てきます。



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今回の一連の騒動では、「業務上の投稿は行わない」「ネットリンチに加担しない」などの学びに加えて、「差別的な言動に加担しない」など、多くの学びがあるものとなりました。

こうしたところに配慮し、安全で楽しいネットライフを送ってください。


 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」11月25日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。



【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

http://smartphoneokoku.net/

 



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