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「ポーク卵おにぎり」が海外進出 片手で手軽に専門店も 沖縄の“ソウルフード” 県産豚肉100%ポーク使用も


「ポーク卵おにぎり」が海外進出 片手で手軽に専門店も 沖縄の“ソウルフード” 県産豚肉100%ポーク使用も 「ポーク卵おにぎり」を手にする「ポーたま」の清川勝朗社長=福岡市
この記事を書いた人 Avatar photo 共同通信社

 沖縄のソウルフード「ポーク卵おにぎり」が県外にとどまらず、海外でも多くの人の胃袋をつかんでいる。ファストフードのようにできたてを片手で食べられる手軽さがあり、最近のおにぎりブームも手伝って人気はうなぎ上りだ。専門店も目立つようになり、業界関係者は「沖縄の食文化も含めて、普及させたい」と意気込む。

 ポーク卵おにぎりは、豚肉の加工品「ポークランチョンミート」と卵焼きをご飯やのりで挟んだ沖縄の定番料理だ。コンビニ大手ファミリーマートが2000年4月に発売。22年10月には東京のIT企業がデリバリーサービスを始めた。

 県内各所に専門店があるが、急速に伸びているのが「ポーたま」(那覇市)だ。国内外に11店舗を展開する。同社の清川勝朗社長(53)は堺市出身。00年に移住し、当初は那覇市内でカフェ経営をしていた。

沖縄のソウルフード「ポーク卵おにぎり」

 13年に沖縄県出身の女性と結婚。ある朝、作ってもらったポーク卵おにぎりのおいしさに衝撃を受けた。「こんなに、できたてはうまいんや」

 自分の驚きを多くの人にも経験してほしいと考え、県内の弁当店や総菜店で片っ端から購入し、ランチョンミートの種類、卵焼きの焼き方、ご飯の量などを研究した。

 14年に1号店を那覇市内にオープン。「できたて」にこだわるため、ポークと卵は5~10分で使い切れる分だけを焼いておき、揚げ物など具材はオーダーを受けてから調理する。

 観光客の間で口コミが広がり、1号店は開店前から行列ができる人気店になった。

 17年5月には那覇空港に出店、東京・八重洲の東京ミッドタウンや福岡市の繁華街にも店を構えた。

 20年には米国・ハワイに進出。元々、ランチョンミートの消費量が多い地域で、違和感なく受け入れられ、反応も上々という。

 同社の23年の売り上げは過去最高の9億円超を見込む。

 23年12月中旬、福岡赤坂店を訪れた福岡市の会社員牛島悠里さん(35)は、週に1度は立ち寄ると話し「おにぎりの量もちょうどよく、いつでも温かくておいしい」と声を弾ませた。

 清川社長は「よそ者だった自分を成功させてくれた沖縄に貢献したい」と話す。

 22年の東京進出を機に沖縄県産豚肉を100%使ったポークランチョンミートを開発し、東京や九州の店舗で導入している。使用店舗を順次広げることで県産品の消費を増やし、沖縄の経済活性化につなげたい考えだ。

(共同通信)