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湛水流の世界緻密に 国立劇場 山内昌也が独演会


湛水流の世界緻密に 国立劇場 山内昌也が独演会 独演会で歌三線を披露する山内昌也=9月30日、浦添市の国立劇場おきなわ
この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 琉球古典音楽家で、国指定無形文化財「琉球舞踊」(歌三線)保持者の山内昌也が9月30日、浦添市の国立劇場おきなわで第2回独演会「渓(たに)の響」を開催した。湛水親方の生誕400年にちなんで、演目は全て湛水流の楽曲で構成。音色や指使い、余韻までが緻密に表現された。

 流麗な中に素朴さも感じる「ヂャンナ節」で幕開け。続く「早作田節(下出(さぎんじゃし))」は、低音から始まりながらも、軽やかさもあった。思い人に会いたいという恋する気持ちを歌った「揚作田節(揚出(あぎんじゃし))」は高音の音色で高まる思いを表現した。

 中盤に披露された舞踊は、湛水流の「作田節」に新垣義志が振り付けたもの。山内の歌三線で柳清本流和華の会師範の永山玲緒奈が踊った。歌詞に登場する大きな菊の花を手にしっとりとした舞を披露し、ささやかな喜びを表現した。続く「暁節」は、直線的な高音が恋する切実さやあふれる思いを表した。

 独演会のタイトルは、せせらぎやさえずりなど自然界の美しい音を意味する「渓の響」。「美しい音は心を浄化する」と語った山内だが、緻密さと流麗さを持ち合わせた音楽空間に、その世界観を体感した。

 湛水流の全曲を収録したCD「渓の響Ⅳ」も発売している。琉球伝統芸能デザイン研究室ホームページから購入できる。

 (田吹遥子)