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石橋さん(那覇出身)技能五輪3連覇 家具作り 史上初「集大成の大会」 2月、技能グランプリ出場


石橋さん(那覇出身)技能五輪3連覇 家具作り 史上初「集大成の大会」 2月、技能グランプリ出場 第61回技能五輪全国大会で大会史上初の3連覇を果たした家具職人の石橋葵さん(天童木工提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 赤嶺 玲子

 今年11月17~21日に愛知県で開催された第61回技能五輪全国大会で、那覇市出身の家具職人・石橋葵さん(22)=山形県在住=が、家具職種部門で最高賞の金賞を受賞した。石橋さんは第59、60回大会でも金賞を受賞しており、全職種を通して大会史上初の3連覇を果たした。石橋さんは「3連覇へのプレッシャーを感じていたが、家族や職場の応援を心の支えに、本番は作業に集中できた。自分の集大成となる大会だった」と語った。

 技能五輪は、ものづくりに携わる23歳以下の若手技能者が、計41職種にわたる各分野で技能を競う。山形県の天童木工に勤める石橋さんを含め、家具職種部門には27人が出場した。

 選手は大会3カ月前に公表された図面を元に本番でキャビネットを製作するが、大会前日には形状や部材の接合方法などの仕様変更が加えられる。石橋さんは「想定していなかった仕様変更があり、加工手順を変えなければならなかった」と振り返る。

 想定外の仕様変更への対応に加え、3連覇というプレッシャーとの戦いもあった。「3連覇を目的にするとプレッシャーで普段の動きができなくなる。誰が見ても美しいと思える家具を作ること、要望に応えられる技能を身に付けることを目標に据えた。目標を果たせば結果は自然に付いてくると信じて挑んだ」

 当日は両親と姉が沖縄から応援に駆け付け、精神面で大きな支えになったという。

 集中力や技術力の高さが認められ、大会史上初の3連覇を果たした石橋さんだが「満足はしていない」と話す。「3連覇はできたが完成した作品は自分の目標に達していなかった。緊張があったのか、普段なら気付く修正箇所に気付けなかったのは自分の甘さだ」と悔しさをにじませた。

 さらなる高みを目指し、来年2月に福岡県で開催される「第32回技能グランプリ」への出場を決めた石橋さん。年齢制限がなく、1級技能士などの資格や推薦が必要な格上の大会だ。「実力を見直す機会だ。より高いレベルに届くよう挑戦する。感謝を忘れず、常に勉強し、成長する職人でありたい」と前を見据えた。

(赤嶺玲子)