沖縄バス(那覇市)は19日、東陽バス(南城市)の全株式を取得する株式譲渡契約を同日付で締結したと発表した。買収額は非公表。全株式を取得し、取締役会などの手続きを経て沖縄バスの新川幹雄社長が東陽バス社長を兼務する。バス業界が運転手不足や乗客減少などの課題を抱える中、買収を通じて競合路線の本数の整理や経営の効率化を図る。
東陽バスの社名はそのまま残し、路線や雇用も継続する。沖縄バスによると、東陽バス側から後継者不足や事業承継に課題があると伝えられた上で、従業員(2023年3月末時点で166人)の雇用継続などについて要望があった。
東陽バスの新入勝行社長は19日、琉球新報の取材に「株式を譲渡しただけで、従業員やバスの運行はそのまま引き継がれる。変わらず利用してほしい」と話した。
沖縄バスは19日の発表で、「東陽バスが地域に根差し、果たしてきた公共交通機関としての役割を引き継ぐ。高齢化社会を意識し、環境に配慮する」とした上で「県内の路線バス、貸し切りバス事業の広域連携で利用者の利便性向上に努める」と説明した。
両社の運行路線は変更しない方針だが、本島中南部で競合路線があり本数を見直すなど合理化を図る。
両社が運行するバスのカラーデザインは今後も継続する。沖縄バスの金城欣光常務は「両社が協力し、県民の足として愛される企業を目指す」と説明した。
(當山幸都)