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県産キンメダイ ブランド化へ ノアズアーク(糸満市)加工品開発 鮮度維持、販路拡大目指す


県産キンメダイ ブランド化へ ノアズアーク(糸満市)加工品開発 鮮度維持、販路拡大目指す 加工したキンメダイやイカなどをアピールするノアズアークの関屋安莉代表(右)と関屋春花取締役
この記事を書いた人 Avatar photo 普天間 伊織

 魚介類などの卸販売を手掛けるNoah’s Ark(ノアズアーク、糸満市)が、県産鮮魚を冷凍した加工品の販売を開始した。漁槽に冷えた海水を取り入れる際、微粒子化した窒素ガスを溶け込ませる特殊な装置を使用して腐敗の進行を抑制することで、新鮮な状態を保つことに成功した。沖縄近海で取れるキンメダイを「かりゆしキンメ」として県内外での販売を通して、県産魚介類のブランド化を図る。

 同社は飲食店の休業などで売り上げが落ち込む地元漁業を支えようと、糸満市出身の関屋安莉代表(25)と、関屋春花取締役(23)の姉妹が2021年に起業した。

 最初は魚を三枚に下ろすこともできなかったという姉妹だが、毎日市場に足を運び、漁師や仲買人らのアドバイスを受けながら経験を積んだ。地元市場で水揚げされた魚介類を仕入れて県内の飲食店を中心に卸していたが、販路を県外・海外に拡大することを目指し、加工品開発も始めた。

加工したキンメダイ=16日、宜野湾市のラグナガーデンホテル

 「若者を中心に魚ばなれが深刻化している」と安莉代表は危機感をあらわにする。農林水産省によると、日本人が1年間に消費する魚介類の量は、2001年度時点の1人あたり40・2キログラムをピークに減少傾向が続き、20年度には23・4キログラムと20年で40%以上減少している。
 魚料理や市場での様子を写真や動画に収めてSNSで発信するなど、ともに二十代という若さを生かして、同年代に向けて県産魚介類の魅力をアピールしている。

 昨年ふるさと納税に出品した「沖縄金目鯛(きんめだい)・かりゆしキンメしゃぶしゃぶセット」(2~3人前、1万5千円・税抜)は「注文が殺到し、加工が追いつかないほどだ」(安莉代表)という。

 安莉代表は韓国、春花取締役は台湾への留学経験があり、海外での展開も視野に入れる。

 現在はふるさと納税と各種イベントでの販売のみだが、今後は量販店やホテルなどでの販売を目指す。

 春花取締役は「沖縄の魚介類がおいしいことを海外の人々にも知ってもらい、新鮮なシーフードを食べに沖縄を訪れてほしい」と意欲を見せた。 

(普天間伊織)