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経済需要の拡大と円安影響 沖縄の消費者物価指数、42年ぶり急騰 島しょ県 輸送費も重く


経済需要の拡大と円安影響 沖縄の消費者物価指数、42年ぶり急騰 島しょ県 輸送費も重く 買い物客〔イメージ)
この記事を書いた人 Avatar photo 謝花 史哲

 生鮮食品を除く県内の2023年消費者物価指数が前年比3・6%増の106・1となった。第2次石油危機の影響で4・8%上昇した1981年以来、42年ぶりに3・5%を上回る伸びの大きさ。エネルギー価格の高騰による輸送コストの上昇や、円安による仕入れ価格の上昇などが物価を押し上げたとみられる。3・1%の上昇幅だった全国と同様、物価高が大きく進んだ1年だったことが浮き彫りになった。

 費目指数の動向をみると、押し上げの影響度が最も高かったのが「食料」だった。内訳では肉類、乳卵類、菓子類の影響度が高かった。家事用品や通信費の値上げも大きく影響している。食費や生活必需品が軒並み上昇したことから、県民に幅広く影響が出たとみられる。光熱費は国や県の支援でマイナスだった。

 背景に、新型コロナウイルス感染症からの脱却で経済活動が再開し需要が拡大する一方で、日米の金利差拡大や円安などで仕入れ価格が上昇したことがある。ウクライナ危機などによる穀物市場の需給ひっ迫なども食料値上げにつながった。

 沖縄が全国を上回る伸び率だったことに、りゅうぎん総合研究所の武田智夫常務は「全国と同様の傾向だが、島しょ県で輸送費が上乗せされる。そのため全国より厳しい上がり方となった」と分析した。

 ただ日銀の調査では、仕入れ価格は一服感があり、24年は上昇幅が縮小することが想定されるという。武田氏は、インフレに応じた企業の賃上げは続くと見通しつつ「中小、零細企業が多い県内では全国並みの賃上げとはならないだろう。24年も県民に負担感は残る1年になる可能性がある」と話した。 (謝花史哲)