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「働き方改革」の規制適用、建設業にも影響 下請けなど利益圧迫の懸念 <迫る24年問題 沖縄の現場から>プロローグ続き


「働き方改革」の規制適用、建設業にも影響 下請けなど利益圧迫の懸念 <迫る24年問題 沖縄の現場から>プロローグ続き 沖縄本島で乗り合い事業を展開する(左下から時計回りに)沖縄、東陽、琉球、那覇の各社バスのコラージュ
この記事を書いた人 Avatar photo 謝花 史哲

 新型コロナウイルス感染症が収束に向かい、観光需要の回復で景気が上向く県経済だが、人手不足が深刻化する中で「2024年問題」への対応が喫緊の課題となっている。県内でも既に沖縄バスと琉球バスが共同運行する路線減便の一因として表面化した。

 発端は19年に施行された「働き方改革関連法」にある。影響が大きい業種で時間外労働の上限規制の適用が5年猶予されてきたが、準備が追い付いていない中小企業を中心に、本格適用が経営課題として重くのしかかる。

 猶予期間が終わり、4月から規制が適用されるのはバスや運送など運輸、建設のほか、医師が対象で、県内では製糖業も該当する。

 運送業界は自動車運転業務の年間の時間外労働時間上限が960時間に制限される。勤務終了から始業までの休息期間も現行の8時間から1時間延ばさなければならない。建設業では残業時間が月45時間、年間360時間と制限がかかる。

 県内ではバス会社が昨年から対策に動き始めた。東陽バスが規制適用を見据えて昨年9月、減便を決断した。続けて沖縄バスと琉球バスが北部発着の路線バスを中心に減便し、1月からは琉球バスが4系統の路線で減便や最終便の前倒しなどを決めた。

 人手不足の中、4月からの規制に対応した勤務シフトに移行させており、減便や最終便の繰り上げといったダイヤにせざるを得なかったとみられる。

 貨物輸送では運行時間や貨物運搬量の減少が懸念される。建設業は国発注事業で既に週休2日制が導入され、一定の改善はみられるが、民間事業を手掛けた場合には人手不足に陥る可能性が高いという。

 県内でも特A業者を中心に、勤怠管理の強化などが進められているものの、下請けや孫請けに回る企業は利益圧迫につながりかねず、関係者は「慢性的な人手不足の中で、法令を守ることができる企業は少ないのではないか」と吐露した。

(謝花史哲)