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運転手シフト「維持難しい」 人手不足、バス大幅減便<迫る24年問題 沖縄の現場から>プロローグ 


運転手シフト「維持難しい」 人手不足、バス大幅減便<迫る24年問題 沖縄の現場から>プロローグ  「2024年問題」を一因に一部減便された路線バスの時刻表
この記事を書いた人 Avatar photo 謝花 史哲

 「現状維持は難しい」。運転手の勤務シフトを作成していた担当者の手が何度も止まった。人手不足で必要な運転手の数を確保できていなかった。「このままでは、これまで通りの運行はできない」

 沖縄バスは昨年10月、琉球バスと共同運行する路線の大幅な減便に踏み切った。苦渋の決断だった。

 ダイヤに合わせて運転手を配置できなくなると判断した沖縄バスは、ライバル社でもある琉球バスに減便を見込んだダイヤの見直しを申し入れた。約1年前のことだった。

 車社会の沖縄では、以前から乗客数は伸び悩んでいた。経営環境が厳しい中、運転手採用に向け、さまざまな取り組みを継続しているが、応募者自体が少ない「なり手不足」が深刻だ。他業種を含めた慢性的な人手不足が課題として横たわっていた。

 こうした中、新型コロナウイルス禍が直撃した。感染を恐れ、公共交通の利用を控える空気がまん延した。緊急事態宣言は経営をさらに圧迫した。

 今回の減便は10路線で平日運行は計73本(往復換算)に上った。2019年にも両社は減便を実施していたが、当時の規模を上回った。「1度にここまでの減便は過去に例がないのではないか」(担当者)

 昨年からコロナ禍の制限が徐々に緩和されたが、期待したほどに乗客数は戻っていない。そうした中、労働時間の管理が厳格化される「2024年問題」が迫っていた。

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 長時間労働の改善を目的とした働き方改革の一環として、4月からバスや運送、建設業界などで時間外労働に上限を課すなど各種規制が厳格化される。労働時間の抑制などによるサービス低下やさらなる人手不足など「2024年問題」として余波が懸念されている。法令を守り、効率的な業務を行うためにはどのような対策が必要なのか。対応に迫られている現場を探る。 

(謝花史哲)

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