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2024年問題「意識改革を」りゅうぎん総研提言 時間外労働減へ工期延長 人材育成で行政支援を強化 沖縄


2024年問題「意識改革を」りゅうぎん総研提言 時間外労働減へ工期延長 人材育成で行政支援を強化 沖縄 イメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 謝花 史哲

 りゅうぎん総合研究所は4日、働き方改革の一環で「時間外労働の上限規制」などの適用が4月から始まる建設業や運転業務など沖縄県内の4業種について、労働環境改善への取り組みに関する提言を発表した。

 各業種それぞれ特有の問題を抱えているとした上で、人手不足の中で長時間労働を前提としたサービスの在り方には、消費者も疑問を持つ必要があると促し、共通の取り組みとして「県民の理解促進」と「補助事業の強化」など行政支援の拡充を提起した。

 調査対象は県内の建設業、自動車運転業務、医師、製糖業で、2019年の労働基準法改正から規制が5年猶予されてきた業種。規制の厳格化で人手不足感が強まるなど「2024年問題」として、影響が懸念される。今回は原則月45時間となった「時間外労働の上限規制」に焦点を当てた。

 建設業は、国土交通省の全国調査で工事現場の休業日が4週のうち8日と回答した割合が14%にとどまっているとして「工期が短く時間外労働を前提としたスケジュールが組まれていることが考えられる。発注者側の意識改革が必要」と指摘した。

 聞き取りから県内でも時間外労働は多いとし、業務効率化や人材確保の取り組みなど好事例を各社に広げていく活動の実施、工期延長とこれに見合った請負代金の増額など適切な工期の在り方を協議する重要性を挙げた。

 バス・タクシーは人手不足が「2024年問題」で悪化する恐れがあるという課題を調査で拾い上げた。労働環境を是正するため、人材確保のための補助金制度の継続や職業訓練校への2種免許養成科の設置など育成強化を提案した。

 医師に関しても適切な労務管理や健康確保の体制整備の必要性に言及した。製糖業では、規制に対応しながら24時間の工場稼働を支えるには2交代から3交代勤務に移行する必要があることから、人件費増大分を想定し、糖価調整制度の見直しを含めた国の支援が必要との考え方を示した。

 (謝花史哲)