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「週休2日」の工事現場、国は推進 民間は「経営圧迫」のホンネ<迫る24年問題 沖縄の現場から>12 建設業(下)


「週休2日」の工事現場、国は推進 民間は「経営圧迫」のホンネ<迫る24年問題 沖縄の現場から>12 建設業(下) 「週休二日モデル工事」を掲げる看板。県内でも公共工事で徐々に取り組みが進んできた=2月、豊見城市内
この記事を書いた人 Avatar photo 謝花 史哲

 「週休二日(4週8休)モデル工事」。県発注の道路工事に掲げられた立て看板が目に留まる。県内の土木や建築現場で徐々に労働者の休みを確保する動きが広がってきた。4月から働き方改革関連法の罰則付き時間外労働規制が適用されることを踏まえ、国土交通省は直轄工事で週休2日の工事を順次拡大するなど取り組みが進んでいる。

 国が建設業で週休2日制度の浸透を目指す背景にあるのが技能者の減少や就業者の高齢化だ。国交省によると、国内の建設業就業者は2010年の504万人から22年は479万人に減少。年齢構成は全産業に比べ55歳以上が35.9%と4.4ポイント高く、29歳以下は11.7%で4.7ポイント低いなど高齢化が進み、技術継承が大きな課題となっているという。

 他産業に比べ休日取得数が低いことに加え、総実労働時間の長さも目立つ。全国の傾向と同じく、県の22年労働調査によると、1人平均月間総実労働時間(30人以上事業所)が建設業は166.3時間で全産業の142.4時間を上回り産業別で最も多かった。

 所定外労働時間は他産業と大きな差はないが「繁忙期はどうしても超勤は増える。月別でみると、上限の45時間に近い時期は出てくる」と関係者らは口をそろえた。

 全国で60歳以上の技能者は全体の約4分の1を占める。10年後には大量の退職者が見込まれることから、国交省は若手を呼び込むためにも「担い手の処遇改善や働き方改革、生産性向上を一体として進めることが必要だ」と政策を進める。

 国交省の独自調査で、沖縄は22年度の国発注の公共工事で週休2日達成率が39.4%だった。全国平均の46.5%を下回ったものの、前年より18.1ポイント増加し、改善傾向にある。

 就業者数はピークの7万9千人から一時6万5千人まで減少したが、持ち直し7万人前後を保つなど全国の傾向より労働市場は安定している。ただ建設業関係者は高齢化は全国同様に進行しているとして「先行きが懸念されている」と言う。

 さらに民間ではコスト削減の観点から「週休2日が取れるような工期設定にはなっていない」と明かす。国は民間工事でも適正な工期設定や週休2日の確保を働き掛けるが、県内大手の代表によると、工期に間に合わせるため、発注側の計画に受注側が合わせざるを得ない現状がある。

 「競争がある中、特に下請け会社にとって人材確保は経費が増加し経営を圧迫するため、『対応できない』というのが本音だろう」と推察。「できればもう少し適用を猶予してほしいのが大方の意見ではないか」と漏らした。

 (謝花史哲)
 (木―金曜掲載)