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琉球ガラスのランタン人気 耐熱性、強度にネット注目 アウトドアの「燈人」 沖縄・豊見城に工房 


琉球ガラスのランタン人気 耐熱性、強度にネット注目 アウトドアの「燈人」 沖縄・豊見城に工房  耐熱琉球ガラスで作られたランタンの火屋と、コーヒーカップや小皿など=豊見城市のおきなわ工芸の杜
この記事を書いた人 Avatar photo 岩崎 みどり

 アウトドア用品の販売店「燈人(ともしびと)」(那覇市、許田洋社長)が開発した琉球ガラスを使ったランタンが、キャンプ愛好家らの人気を集めている。

 琉球ガラスは熱に弱いが、同社のガラスは耐熱性だ。この耐熱琉球ガラスを開発した工房が閉鎖したため、同社は昨年12月に豊見城市の「おきなわ工芸の杜」に工房を開設、辞めていった職人たちを呼び戻した。ホテルや飲食店などに販路拡大を目指す同社は「耐熱ガラスを作る高い技術を守り、若い世代に継承したい」と意気込む。

 燈人は2020年、コロナ禍であえぐ沖縄の工芸を応援しようと、琉球ガラス製のランタンを企画、耐熱の琉球ガラスを作る工房に依頼した。コロナの影響で中断しながらも21年に試作品が完成したが、22年12月に工房は閉鎖してしまった。

燈人で耐熱琉球ガラスの製品をつくる職人の(左から)山田徹さん、泉川寛勇さん、城間梨沙さんと、企画担当の與那嶺康貴さん=14日、豊見城市のおきなわ工芸の杜

 燈人で企画を担当する與那嶺康貴さん(47)は「他の工房を探したが、炎に耐えられる琉球ガラスを作る工房はなかった」と振り返る。そこで自社での工房運営を決断、職人3人を呼び戻した。

 その一人、工場長の泉川寛勇さん(74)はガラス工芸歴55年。固まりやすい耐熱ガラスを手際よく加工する。工房の閉鎖で、一度はガラス作りから引退を考えた。工房では若手職人を募集しており「知られていない耐熱の琉球ガラスを作る技術を伝えたい」と話す。職人たちの技術で生み出された製品は強度が高く、食洗機や電子レンジも使える。

 ランタンはネットで注目され、製造待ちが続く。同社はコーヒーカップなど新商品も開発。與那嶺さんは「琉球ガラスに付加価値を付けることで価格競争に巻き込まれないようにする。それにより職人の待遇向上や後継者の育成、開発や研究にも力を入れたい」と意欲を見せた。

(岩崎みどり)