中国をはじめとする社会主義圏との経済交流の窓口として設立され、今年で70年を迎える日本国際貿易促進協会(東京都)。その要職となる事務局長に豊見城市出身の泉川友樹さん(45)が就任した。両国間には政治課題も横たわるものの、経済振興で欠かせないパートナーなのも現実。経済交流をどう進めるか、話を聞いた。
―どのような団体か。
「メガバンクや航空、流通など国内の企業が会員となり1954年に設立した民間団体だ。沖縄県とは10年以上にわたって協力関係を築いてきた。今は専ら中国との経済交流を推進している。靖国神社や尖閣諸島など問題があっても経済に影響が及ばないよう両政府に民間の立場から対話での解決を申し入れる」
―具体的な事業は。
「毎年1回、河野洋平会長(元衆議院議長)を団長に訪中団を派遣している。中国国家首脳、中央政府と直接交流し率直な意見交換をしている。中国への投資、貿易に関心のある会員を組織して視察団を派遣し現地政府や企業とも交流する。中国地方政府の来日団が日本で行う投資誘致セミナー開催も協力している」
―全国的に訪日客も復活基調だが、県内は。
「これまでの交流の成果で中国での沖縄の知名度も上がっている。実際に沖縄への訪問経験を語る人も多い。まだ空路がコロナ禍前の水準に復活していない状況もあるが、交流を続けていくことが大切だ」
―現在の沖縄と中国の関係は。
「琉球の時代と比べ交流は全然足りていない。お互いの顔が見えていない。相互に知り合いが増えれば、メディアの情報に右往左往しなくなる。中国経済は共産党や国家という枠組みだけでなく、それらを超越した中華圏、華僑という視野でダイナミックに動いている。これに沖縄がどう結びついていくのか。沖縄は周辺環境からしても千載一遇のチャンスを迎えている」
―中国経済の減速感が伝えられる。
「中国は不動産一辺倒の発展をやめて新しい科学技術による成長エンジンをつくろうとしている。輸出品目の重点は電気自動車、リチウムイオン電池、ソーラー発電製品だ。世界が必要とする環境保護産業でリードする意思を示しており、注目している」
―政治課題を無視はできない現状もある。
「政府間で対話の枠組みをきちんとつくって話し合えばいい。経済面で何より大切なのは交流。お互いの最低ラインは戦争をしないこと。政治体制についてはお互いに尊重することが大切だ。東京や大阪は貨物のやり取り一つを見ても相互に不可欠な環境にあり、中国と積極的にビジネス交流を進めているのが実態だ。政治課題を気にするあまり、沖縄がつながらないのはもったいない。関係づくりに取り組んでほしい」
(聞き手・斎藤学)