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停電、長期化の要因は「誤認」 宮古島 不具合の特定に時間要す 沖縄電力


停電、長期化の要因は「誤認」 宮古島 不具合の特定に時間要す 沖縄電力 宮古島市全域での大規模停電発生を陳謝し、頭を下げる沖縄電力の横田哲副社長(中央)ら=25日午後5時40分、浦添市牧港の沖縄電力本店(大城直也撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 当間 詩朗

 8時間半にわたって発生した宮古島市の停電。臨時休業を強いられる事業者や薄暗い中で授業を行う学校現場など、市民生活に大きな影響を与えた。復旧まで長時間を要した背景には、沖縄電力が当初想定した事故発生部分を誤認したことにあった。

 市全域の停電が発生したのは25日午前3時12分。宮古島第二発電所内の発電機の計器が異常を示し、安全制御が働いて市内の全ての送電がストップした。沖電によると、停電を引き起こしたのは発電機と送電線を結ぶ装置「母線」の不具合だった。しかし、停電発生直後の調査では伊良部島への送電線側に異常を示すデータが表示された。担当者の巡視で問題の箇所に異常はなく、健全に送電できる状況が確認できたことから沖電は送電を再開した。

 停電は一時復旧したものの、計器は再び異常を検知。送電は再び止められ、午前7時20分に二度目の停電に至った。

 問題は送電側でなく発電所構内側にあるとみて順次点検し、複数ある母線の一つが焼け焦げているのを確認した。母線一つに不具合があった場合、発電機そのものの安全制御が働くため、異常のあった母線を回路から引き離す作業が必要となり、想定よりも復旧に時間がかかったとみられる。

 沖電によると、問題が発生した「母線」は1983年から稼働を開始。10年ごとに行われる保守点検で異常は確認されておらず、1日3回行われる巡視点検でも特異点などは見つかっていなかったという。

 「母線」のトラブルによる停電について沖電の担当者は「あまり例がない」と説明する。宮古島第二発電所の「母線」は密閉された箱のようなものの中に設置されており、外からの飛来物で破損することは考えられないという。

 沖電は、母線での不具合発生原因について「調査中」としている。現時点で、なぜ送電線側に異常を示すデータが出たのかも判明していない。今後は事故対策委員会を立ち上げ、再発防止策などを講じていく方針だ。設備の保守点検時期についても「点検の周期についても考えていきたい」とし、見直しを示唆する考えを示した。

 (当間 詩朗)

原因となった「母線」のイメージ写真(沖縄電力提供)