沖縄セルラー電話(那覇市、菅隆志社長)は7日、企業活動の自然環境へのリスクを「見える化」した「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」リポートを公開した。主軸の通信事業を対象に沖縄の自然資本との関連性を把握することで、今後の事業展開につなげる狙い。同社によると、リポートの公表は県内初という。
TNFDは、世界の機関投資家らでつくる国際的枠組み。金融経済発展の根幹には生物多様性が重要とし、世界的に失われる自然資本の回復を促すことで、持続可能な経済活動を目指す。2023年9月にガイドラインが策定され、国内企業でも参画・開示宣言する動きが加速しており、同社は同年夏にTNFDフォーラムに参画した。
リポート公開に向け、琉球大学の研究者らが立ち上げた「シンク・ネイチャー」と協力。生物多様性のビッグデータに基づき、(1)基地局(2)営業所(3)海底ケーブル設置―への環境評価とリスクを特定した。
7日に会見したシンク・ネイチャーの久保田康裕代表取締役は「沖縄拠点の企業がリポートを公開するのは画期的。ロケーション評価が重要なTNFDにおいて、今後国際的なモデルケースになり得る」と評価した。菅社長は「沖縄のネイチャー・ポジティブに向け、県全体の機運を高める機会にしたい」と話した。
リポートは同社サイトで公開している。
(小浜早紀子)