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価格転嫁後、企業の半数利益なし 原料高に経営が追い付かず 海邦総研


価格転嫁後、企業の半数利益なし 原料高に経営が追い付かず 海邦総研 那覇のビジネス街
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 海邦総研(湖城誠一郎社長)は18日、原材料価格高騰などを受けた県内企業の価格転嫁状況調査を発表した。8割以上の企業が仕入れ値が「上昇した」と回答したほか、6割以上が値上げする意向を示した。1年以内に「価格転嫁した」と回答した222社のうち利益確保が「できていない」は46・4%、「できている」は44・1%だった。約半数が原材料高に経営が追い付かず利益確保に苦慮している状況が明らかとなった。

 海邦総研の担当者は「今後もあらゆるモノ、サービスの価格上昇が見込まれ、家計や企業の負担感は拡大するとみられる」との見方を示した。

 業種別でみると、旅行・宿泊業と医療・福祉の71・4%が価格転嫁による利益確保が「できていない」と回答し、割合が最も高かった。次いで飲食サービス業で66・7%だった。利益確保が「できている」の回答が最多だったのは不動産業の58・3%で、情報通信業が50・0%と続いた。

 この1年間で価格転嫁した企業は55・4%で、「していない」は36・2%だった。業種別でみると、製造業、卸売・小売業、飲食サービス業で価格転嫁した企業が多かった。資本金、従業員数別では規模の小さい企業で「していない」が多かった。

 今後の価格改定に関しては401社のうち「実施する」が32・9%、「検討している」が34・4%で計67・3%が価格転嫁に前向きな姿勢をみせた。業種別でみると、卸売・小売業、飲食サービス業、旅行・宿泊業で「実施する」の回答が多かった。一方で、医療・福祉やその他サービス業では「経営環境上、価格転嫁できない」が多くを占めた。

 全体の87・3%の企業が現状の仕入価格について「1年前より上昇している」と回答した。83・8%は仕入価格が「高額」との認識を示した。調査は県内に本社がある企業1984社に調査票を送付し、401社から回答を得た。

 (当間詩朗)