今年3月下旬、那覇市安里のさいおんスクエア内に食品スーパー・ロピアの県内1号店「沖縄国際通り店」が開業した。大容量で安い「コスパ最強」を打ち出す店舗には初日の開店前から列ができ、オープンに合わせて用意した臨時駐車場は4カ月が過ぎた現在も稼働が続くなど集客力が目を引く。
8月上旬の週末、豊見城市からバーベキュー用の肉を買いに来た40代男性は「味付けしてあるものもあって品ぞろえがいい」と語った。国際通り沿いで周辺にホテルも立地する店舗の客層は地元客から外国人を含む観光客まで幅広く、周辺地域からも客を引き寄せている。
1971年に神奈川県藤沢市で精肉店として始まったロピアは近年、全国で店舗網を拡大している。大容量にすることでパック詰めの手間を省き、飲料は常温販売にして電気代を抑制。支払いは原則現金のみとし、キャッシュレス決済に伴う手数料負担をなくして販売価格引き下げ分に回す。こうしたコスト削減策が低価格路線を支えている。
今年に入り総合スーパーのイトーヨーカ堂(東京都)が撤退を決めた北海道と東北の店舗を引き継ぐことで合意するなど出店戦略を強化。沖縄国際通り店が90店舗目で、7月末現在で国内と台湾に計98店舗を構え、破竹の勢いを見せる。
沖縄初進出の最大の特徴は、全国初のフランチャイズ(FC)出店であることだ。県内で食品スーパー「フレッシュプラザユニオン」を20店舗展開する野嵩商会(宜野湾市)が運営を担う。
ロピアを傘下に置くOICグループ(神奈川県)によると、FCは出店や従業員確保、仕入れに要するコストが抑えられるメリットがある。野嵩商会にとっては、ロイヤリティー(権利使用料)を支払う見返りに「食のテーマパーク」を掲げる売り場づくりなどロピアの経営ノウハウを吸収できる。「沖縄は食文化や仕入れ、肉や魚の販売などいろいろと違う。野嵩商会さんと一緒ならうまくいくのではないかというところから始まった」。ロピアの相川博史取締役はFC展開の意義をそう強調した。
沖縄国際通り店の売上高はユニオンで最も売り上げが高い店舗を上回り、平均的な店舗の2倍に達するという。30~40代のファミリー層を主なターゲットとするロピア。特に週末はまとめ買いする顧客が多く、客単価が高い傾向がある。
沖縄国際通り店の売り場面積は1032平方メートルとロピアの一般的な店舗の半分程度でユニオンの広さに近い。県外では駐車場を備える広い居抜き店舗を活用して出店するケースが目立つロピアだが、沖縄ではそうした物件は少ないのが実情だ。ユニオンとどうすみ分け、今後店舗網を広げるか注目される。
(當山幸都)